スループットとは?システム設計の基本

スループットの基本概念と定義
スループットとは、システムが単位時間あたりに処理できる作業量を表す指標です。システム開発において、スループットはサービス品質を決定する重要な要素となります。具体的には、Webサーバーが1秒間に処理できるリクエスト数や、データベースが処理できるトランザクション数などで測定されます。
性能要件におけるスループットの重要性
スループットは、システムの処理能力を定量的に評価する基準として機能します。適切なスループット設定により、ユーザー体験の向上とシステムリソースの最適化が実現できます。特に大規模システムでは、ビジネス要件に基づいた適切なスループット設計が不可欠です。
スループットとレスポンスタイムの違い
スループットは「処理量」を、レスポンスタイムは「処理速度」を示します。高いスループットでも個々の処理に時間がかかる場合があり、両方のバランスを考慮したシステム設計が重要です。
スループットの測定単位と計算方法
TPS(Transaction Per Second)
TPSは1秒間に処理できるトランザクション数を表します。データベース処理やEC系システムで重要な指標となり、一般的なWebアプリケーションでは100-1000TPS程度が目安です。
RPS(Request Per Second)
RPSは1秒間に処理できるリクエスト数を示し、WebサーバーやAPI性能評価で使用されます。計算式は「総リクエスト数÷測定時間」で求められます。
システム設計でのスループット要件定義
ピーク時とベース時の要件設定
システム設計では、通常時の2-3倍のピーク負荷を想定した要件設定が推奨されます。例えば、平常時1000RPSのシステムでは、ピーク時3000RPSに対応できる設計が必要です。
スループット向上のアプローチ手法
スケールアップとスケールアウト
スケールアップはサーバースペック向上、スケールアウトはサーバー台数増加による性能向上手法です。コストと効果のバランスを考慮した選択が重要です。
キャッシュ活用による改善
Redis、Memcachedなどのキャッシュシステム活用により、データベース負荷を軽減し、スループットを大幅に改善できます。
業界別スループット要件の目安
- ECサイト:ピーク時5000-10000RPS
- 金融系システム:1000-3000TPS
- SNS・メディア:10000-50000RPS
スループット測定ツールと手法
JMeter、Apache Bench、Gatlingなどの負荷テストツールを活用し、実際の運用環境に近い条件でのスループット測定を実施します。
まとめ
スループットの適切な設定と測定は、安定したシステム運用の基盤となります。ビジネス要件を踏まえた要件定義と継続的な性能監視により、最適なシステム性能を維持できます。
