「長年使っているシステムに機能を足したいが、いくらかかるのか見当がつかない」
「開発した会社と連絡が取れなくなり、改修を頼める先がない」
システムは一度作って終わりではなく、業務の変化に合わせて手を入れながら使い続けるものです。
この「手を入れる」作業がシステム改修です。
この記事では、システム改修とは何か、費用はどう決まるのかを解説します。
改修費用は「作業の量」よりも「今のシステムを調べる手間」で大きく変わります。
進め方、作り直しとの判断基準、開発した会社に頼めないときの対処法もあわせてご紹介します。
システム改修とは?
システム改修とは、すでに稼働しているシステムに変更を加えることです。
内容によって、大きく次の5つに分けられます。
| 改修の種類 | 内容の例 |
|---|---|
| 機能追加 | 新しい画面や帳票、検索機能などを追加する |
| 機能変更 | 業務の変化に合わせて、既存の機能や入力項目を変更する |
| 不具合修正 | エラーや計算間違いなど、問題のある動作を直す |
| 環境対応 | サーバーやOS、ブラウザの更新に合わせてシステムを対応させる |
| 法令対応 | 税率や制度の変更など、法令の改正にシステムを合わせる |
ポイントは、改修が「作る」よりも「調べる」が大変な作業だという点です。
既存のシステムに手を入れるには、「今どう作られているか」「どこを触ると何に影響するか」を先に調べる必要があります。
この調査の大変さが、改修費用を大きく左右します。
改修・保守・リプレイスの違い
似た言葉に「保守」と「リプレイス」があります。
見積もりや契約の範囲を確認するときに混同しやすいので、違いを整理しておきます。
| 言葉 | 目的 | 主な作業 | 費用の出方 |
|---|---|---|---|
| 保守 | 今のシステムを止めずに動かし続ける | 監視、障害対応、軽微な修正、問い合わせ対応 | 月額の契約が多い |
| 改修 | 今のシステムを変える | 機能追加・変更、不具合修正、環境・法令対応 | 案件ごとの見積もりが多い |
| リプレイス | システムを新しく作り直す | 要件の整理、新システムの開発、データ移行 | 新規開発と同じく見積もり |
保守契約の中に小さな改修が含まれていることもあります。
保守の作業内容と費用の相場は、Webシステム保守とは?とシステム保守費用の相場で解説しています。
システム改修の費用はどう決まる?
システム改修の費用は、基本的に次の式で決まります。
改修費用 = エンジニアの作業時間(人日・人月)× 単価
「この改修に何日かかるか」を見積もり、エンジニアの単価を掛けたものが費用になります。
作業時間には、プログラムを書く時間だけでなく、調査・設計・テストの時間も含まれます。
人月単価の相場は、システム開発の費用相場|人月単価と見積もりの妥当性にまとめています。
規模別の目安は次のとおりです。
| 規模 | 内容の例 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 小規模 | 文言の修正、表示項目の追加など | 数万円〜数十万円 |
| 中規模 | 新しい機能や帳票の追加など | 数十万円〜数百万円 |
| 大規模 | データ構造や画面全体に関わる改修 | 数百万円〜 |
保守契約の範囲内で対応する小さな改修は、時間単位で請求されることもあります。
保守契約の超過作業は、1時間1〜2万円程度が一つの目安です。
改修費用が高くなりやすいケース
上の表はあくまで目安です。
同じ内容の改修でも、システムの作りによって費用は大きく変わります。
費用が高くなりやすいのは、次のようなケースです。
- 設計書や仕様書がなく、調査に時間がかかる
- 作った会社にしか分からない、独自の作りになっている
- 変更の影響範囲が広く、テストに時間がかかる
- 本番とは別に動作確認できる環境(テスト環境)がない
- 古い言語やサポートの切れた部品で作られている
見積もりで確認したい内訳
見積もりを受け取ったら、金額だけでなく「何にどれくらいの工数がかかるのか」を確認しましょう。
改修の見積もりは、おおむね次の項目に分かれます。
| 項目 | 内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 調査 | 今の作りと影響範囲を調べる | 資料がない場合、どこまで調べる前提か |
| 設計 | 変更内容を決めて文書にする | 変更後の仕様書をもらえるか |
| 実装 | プログラムを変更する | 変更する画面・機能の範囲 |
| テスト | 変更箇所と影響のある箇所を確かめる | どの範囲までテストするか |
| リリース | 本番環境に反映する | 作業日時と、問題が出たときの戻し方 |
内訳を分かりやすく説明してくれる会社は、信頼しやすい会社です。
システム改修の進め方|依頼から完了までの5ステップ
改修は、おおむね次の5つのステップで進みます。
- 相談・現状の共有
困っていること、変えたいこと、手元にある資料を伝えます。 - 調査
開発会社がソースコードや画面を確認し、変更の影響範囲を調べます。 - 見積もり・仕様の確定
何をどう変えるかを決め、費用と期間の合意をとります。 - 開発・テスト
テスト環境で変更し、発注側も実際の業務の流れで動作を確認します。 - リリース・稼働後の確認
本番に反映し、数日〜数週間は問題が出ないかを見守ります。
発注側の負担が大きいのは、1の「現状の共有」と4の「動作の確認」です。
ここに担当者の時間を確保しておくと、手戻りが減り、結果として費用も抑えられます。
改修費用を抑える3つのコツ
- 要望をまとめて相談する
小さな改修を1件ずつ頼むより、まとめて相談したほうが調査・テストを共通化でき、総額を抑えられます。 - 資料と権限をそろえる
設計書・仕様書・サーバーのアカウント情報などがそろっているほど、調査の工数が減ります。 - 優先順位をつける
「必ずやりたいこと」と「できれば」を分けて伝えると、予算内に収める提案がしやすくなります。
一番効くのは「要望をまとめる」ことです。
調査とテストは改修1回ごとにかかるため、回数を減らすほど総額が下がります。
改修を続けるか、作り直すかの判断基準
改修を何度も重ねているシステムは、作り直し(リプレイス)と費用を比べるのも一つの方法です。
次のサインが3つ以上当てはまる場合は、改修を続けるより作り直したほうが長期的に安くなることがあります。
| サイン | 起きていること |
|---|---|
| 改修のたびに別の箇所が壊れる | 作りが複雑になり、影響範囲を読めなくなっている |
| 改修の見積もりが年々高くなる | 調査とテストの工数が膨らんでいる |
| OSや言語のサポートが切れている | セキュリティ対応ができず、環境対応の改修も難しい |
| 中身を分かる人がいない | 改修のたびに一から調査が必要になる |
| 業務がシステムに合わせて回っている | 手作業やExcelでの補完が増えている |
判断のコツは、「今後3〜5年の改修費の合計」と「作り直しの費用」を並べて比べることです。
古くなった業務システムを作り直した例は、老朽化した不動産管理システムのリプレイス開発事例でご覧いただけます。
全部を作り直さず、使える部分を残す方法もあります。レガシー基幹システムを残してWeb化した事例も参考にしてください。
開発した会社に改修を頼めないときは?
システム改修のご相談で意外と多いのが、「開発した会社に頼めない」というケースです。
- 開発会社が倒産・事業撤退してしまった
- 連絡が取れない、対応が遅い
- 担当者が退職し、システムの中身が分かる人がいない
この場合でも、あきらめる必要はありません。
他社が作ったシステムでも、「調査 → ドキュメント化 → 改修」の手順を踏めば、別の会社が引き継いで改修できます。
当社でも、開発会社の撤退で保守先がなくなったシステムを引き継ぎ、資料が少ない状態から調査して、改修・保守を続けている実績があります。
引き継ぐ前に手元にそろえたいもの
引き継ぎには、元のシステムを理解するための調査費用がかかります。
次のものがそろっているほど、調査の手間と費用を抑えられます。
- ソースコード:最新版がどこにあるか
- サーバー・管理画面の権限:自社名義のアカウントで入れるか
- ドメインの名義:制作会社の名義のままになっていないか
- 設計書・仕様書・操作マニュアル:古くても残っていれば役に立つ
- 契約書:ソースコードの権利がどちらにあるか
引き継ぎの進め方は、システム開発の引き継ぎの進め方|6ステップと失敗しない5つのポイントで詳しく解説しています。
ドメインの名義を自社に戻す手順は、ドメイン移管の注意点をご覧ください。
改修を依頼する前のチェックリスト
改修を依頼する前に確認したい項目をチェックリストにまとめました。
- 改修したい内容と優先順位を整理したか
- 今困っている症状を、具体的に説明できるか(画面・操作・頻度)
- 設計書・仕様書などの資料があるか確認したか
- ソースコードとサーバーの権限が自社にあるか確認したか
- 元の開発会社と連絡が取れるか確認したか
- ついでに直したい箇所をまとめて相談できる形にしたか
- 見積もりの内訳と根拠を確認する前提でいるか
- 改修後の保守体制(どこに頼み続けるか)を考えたか
すべてそろっていなくても大丈夫です。
「何が分からないか」ごと相談できるのが、良い開発会社です。
システム改修に関するよくある質問
Q. 文言の修正のような小さな改修だけでも頼めますか?
頼めます。
ただし、初めて触るシステムの場合は、小さな修正でも最初に調査の時間がかかります。
ほかに直したい箇所があれば、まとめて相談したほうが割安になります。
Q. 他社が作ったシステムでも改修してもらえますか?
多くの場合、対応できます。
ソースコードとサーバーの権限があれば、調査から始めて改修できます。
使われている言語や仕組みによっては対応できないこともあるため、まずは現状をお聞かせください。
Q. ソースコードが手元にない場合はどうなりますか?
まずは、サーバー上に残っていないか、元の開発会社から受け取れないかを確認します。
どうしても入手できない場合、改修はできず、作り直しを検討することになります。
契約書でソースコードの権利がどちらにあるかも確認しておきましょう。
Q. 保守契約を結んでいれば、改修費用はかかりませんか?
契約内容によります。
多くの保守契約では、軽微な修正は月額の範囲に含まれ、機能追加などの大きな改修は別見積もりになります。
契約書で「どこまでが保守の範囲か」を確認してください。
まとめ
システム改修とは何か、費用の決まり方と抑え方をご紹介しました。
- システム改修は「機能追加・変更・不具合修正・環境対応・法令対応」の5種類
- 費用は「作業時間 × 単価」で決まり、調査・テストの工数も含まれる
- 資料の有無とシステムの作りで、費用は大きく変わる
- 要望をまとめ、資料をそろえ、優先順位をつけると費用を抑えやすい
- 改修費が膨らみ続けるなら、作り直しと比べて判断する
- 開発した会社に頼めなくても、引き継いで改修できる
「この改修、いくらかかる?」という段階のご相談でも大丈夫です。
「開発した会社と連絡が取れない」「見積もりが妥当か分からない」といったお悩みがありましたら、株式会社みんなシステムズへお気軽にご相談ください。