基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 農業資材(肥料)メーカー様 |
| 提供形態 | Webシステム(ブラウザ利用) |
| 使用技術 | Laravel(PHP)、MySQL、AWS S3 |
| 開発期間 | 約4ヶ月 |
| 商流 | 直受け |
| 予算規模 | 290万円 |
農業資材業界では、新しい肥料や施肥方法を普及させたくても、使い方や設定値の計算が専門的で分かりにくく、導入のハードルが高くなりがちです。
営業担当者が電話やメールで一件ずつ案内する体制では、対応できる件数にも限界があります。
今回、ペースト肥料(肥料を液状にして施用する資材)の普及を目指すクライアント様から、圃場(ほじょう)からでも誰でも設定値を確認できるWebシステムの開発をご依頼いただきました。
開発前の課題
ご相談をいただいた時点で、現場には次のような課題がありました。
| 課題 | 現場で起きていたこと |
|---|---|
| 設定値の計算方法が一律ではない | 田植機の機種や施肥方式によって、計算方法が異なっていた |
| 専門知識がないと分かりにくい | 専門知識がない農業者にとって、導入の技術的なハードルが高かった |
| 案内が営業担当者頼みになる | 営業担当者が個別に設定値を案内するケースが多かった |
| 圃場でその場で確認できない | 実際に作業する圃場の現場では、設定値を確認できなかった |
田植機の機種と施肥方式で計算方法が変わる
クライアント様が扱うペースト肥料は、田植機の機種や施肥方式によって設定値の計算方法が異なります。
施肥方式は次の2方式です。
- 二段施肥:上下二段に分けて施肥する方式
- 側条施肥:苗の側方に施肥する方式
そのため、専門知識がない農業者にとっては導入の技術的なハードルが高いという課題がありました。
案内は営業担当者頼み、圃場では確認できない
これまでは営業担当者が個別に設定値を案内するケースが多く、対応できる件数にも限界がありました。
農業者が実際に作業する圃場の現場で、その場で確認できないという不便さもありました。
提供形態はWebシステムを選んだ
提供形態についても検討がありましたが、ネイティブアプリでは端末やOSへの依存が生じるため、インターネットに接続できれば圃場からでも誰でも使えるWebシステムとして開発する方針になりました。
ご提案・開発アプローチ
ミンシスでは、利用者を「ユーザー(農業者)」と「システム管理者」の2つの役割に整理し、それぞれに必要な機能を分けて設計しました。
| 役割 | 用意した機能の考え方 |
|---|---|
| ユーザー(農業者) | 田植機とペースト肥料を選ぶだけで設定値を算出でき、結果を圃場名と紐づけて保存・参照できる |
| システム管理者 | マスタデータをCSVで一括更新でき、更新時には事前計算データも自動で再生成される |
専門知識がなくても迷わず操作できるフロー
ユーザー向けには、使用する田植機とペースト肥料を選ぶだけで設定値を算出できるフローを提案しています。
二段施肥・側条施肥どちらの方式にも対応しており、専門知識がなくても迷わず操作できます。
「マイ登録」で毎回の入力の手間を減らす
よく使う田植機・肥料を「マイ登録」しておける仕組みも取り入れました。
次回以降はマスタデータ全件からではなく、登録済みの組み合わせだけが表示されるため、毎回の入力の手間を減らせます。
事前計算方式で圃場での待ち時間をなくす
設定値の算出処理には、田植機と肥料のあらゆる組み合わせをあらかじめ計算し、データベースに保持しておく「事前計算方式」を採用しています。
これにより、農業者が組み合わせを選択した瞬間に結果を表示でき、圃場での待ち時間を発生させない設計にしました。
算出した設定値を圃場名と紐づけて保存する
圃場で算出した設定値をその場限りにせず、圃場名と紐づけて保存・参照できる機能を盛り込みました。
一度きりのツールではなく、日常的に使い続けられる業務システムとしての定着を目指しています。
管理者はCSVでマスタデータを一括更新できる
管理者向けには、肥料や田植機のマスタデータをCSVで一括更新できる仕組みを提案しました。
更新時には、上記の事前計算データも自動で再生成されるようにしています。
実装した主な機能
- マイ田植機・マイペースト肥料の登録機能
次回以降の選択を簡略化する。 - 設定値の算出機能
使用する田植機とペースト肥料を選択して算出する。二段施肥・側条施肥の両方式に対応。 - 算出結果の保存機能
結果を圃場名とともに保存する。 - 過去の設定値の参照機能
圃場ごとに過去の設定値を参照できる。 - ユーザー管理機能
管理者がユーザーを管理する。 - CSVによるマスタデータの一括アップロード・ダウンロード機能
更新時には設定値データを自動再生成する。 - 利用開始前のコンプライアンス確認機能
メール認証、免責事項・個人情報取扱への同意など。
導入による効果
導入によって、現場には次のような変化が生まれています。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 設定値の確認方法 | 営業担当者が個別に案内 | 利用者自身が圃場からその場で確認 |
| 案内業務の負担 | 営業担当者の対応件数に依存 | 問い合わせに頼らず確認でき、負担が軽減 |
| 同じ圃場での繰り返し作業 | 一から設定値を計算し直す | 保存した過去の設定値を参照できる |
営業担当者への問い合わせに頼らず確認できる
営業担当者への問い合わせに頼らず、利用者自身が圃場からその場で設定値を確認できるようになりました。
これまで営業担当者の対応件数に依存していた、案内業務の負担が軽減されています。
通信環境が万全でない現場でもストレスなく使える
設定値をあらかじめ計算しておく方式を採用したことで、組み合わせを選ぶだけで即座に結果が表示されます。
圃場という通信環境が万全とは限らない現場でもストレスなく使える点も、評価いただいています。
同じ圃場での繰り返し作業の手間も減った
圃場ごとに過去の設定値を保存・参照できる機能により、同じ圃場で繰り返し作業する際に一から設定値を計算し直す手間も削減されています。
端末やOSを選ばず導入できる
Webシステムとして提供したことで、端末やOSを選ばず導入できます。
全国的な普及を目指すクライアント様にとって、重要なポイントとなっています。
まとめ
本事例は、二段施肥・側条施肥という専門知識が必要だったペースト肥料の設定値算出を、圃場からでも即座に使えるWebシステムとして実現した開発事例です。
- 専門知識がなくても設定値を算出できる
田植機とペースト肥料を選ぶだけで、二段施肥・側条施肥の両方式に対応した設定値が分かる。 - 事前計算方式で待ち時間が発生しない
あらゆる組み合わせをあらかじめ計算して保持し、選んだ瞬間に結果を表示する。 - 圃場ごとに設定値を保存・参照できる
繰り返し作業でも、一から計算し直す必要がない。 - 管理者はCSVでマスタデータを一括更新できる
更新時には事前計算データも自動で再生成される。
導入のハードルを下げながら、現場の業務効率化を同時に実現した開発事例です。開発期間は約4ヶ月、直受けでの対応でした。