「売上につながる仕事に集中したいのに、気づけば1日の半分が事務作業で終わっている」。
中小企業の経営者や管理職から、こうした声をよく聞きます。
その原因になっているのが「ノンコア業務」です。
この記事では、ノンコア業務の意味とコア業務との見分け方を整理します。
そのうえで、減らす方法を「やめる」「型にする」「外に出す」「システムに任せる」の4つに分けて解説します。
システム開発会社として、実際にノンコア業務をシステム化で減らした事例も紹介します。
なお、事務作業を外部の代行会社に任せる方法は事務作業代行とは?人手不足の事務を任せて業務改善につなげる方法で詳しく解説しています。
本記事は、自社の業務のなかからノンコア業務を見つけ、減らし方を選ぶところに焦点を当てます。
ノンコア業務とは?コア業務との違い
ノンコア業務とは、会社の売上や競争力に直接つながらないものの、事業を続けるうえで欠かせない業務のことです。
請求書の発行、データの転記、備品の発注、勤怠の集計などが代表例です。
反対に、コア業務は自社の利益や強みを生み出す業務を指します。
製造業なら製品開発や品質づくり、運送業なら配車の判断や荷主との関係づくりがコア業務にあたります。
| 項目 | コア業務 | ノンコア業務 |
|---|---|---|
| 役割 | 売上・利益・競争力を生み出す | 事業を支える・回す |
| 代表例 | 商品企画、営業提案、製造の工夫、顧客対応の判断 | 請求書発行、転記、集計、書類整理、問い合わせの一次対応 |
| 求められる力 | 経験・判断・専門性 | 正確さ・速さ・手順どおりの処理 |
| 他社との差 | 出やすい(自社の強みになる) | 出にくい(どの会社もほぼ同じ) |
| 任せやすさ | 社外やシステムに任せにくい | ルールが決まれば任せやすい |
ポイントは、ノンコア業務は「不要な業務」ではなく「自社でなくてもできる業務」だということです。
請求書を出さなければ入金はありませんし、勤怠を集計しなければ給与を払えません。
大事なのは、ノンコア業務に社員の時間を取られすぎていないかを見ることです。
ノンコア業務の具体例|部門別の一覧
ノンコア業務は、どの部門にも存在します。
自社にあてはまるものがないか、次の表で確認してみてください。
| 部門 | ノンコア業務の例 | よくある負担 |
|---|---|---|
| 経理 | 請求書の発行・郵送、支払処理、入金の消込、経費精算のチェック | 月末に作業が集中し、転記ミスの確認に時間がかかる |
| 総務・人事 | 勤怠の集計、入退社の手続き、備品の発注、社内申請の回付 | 紙やメールでの回付が多く、どこで止まっているか分からない |
| 営業 | 見積書・提案書の作成、日報の入力、顧客情報の更新 | 外出先から戻って入力するため、残業が増える |
| 現場・業務 | 作業報告の転記、在庫数の集計、配車表の更新 | ホワイトボードやExcelの情報を何度も書き写す |
| カスタマー対応 | 電話の一次受付、よくある質問への回答、予約の受付 | 同じ質問への回答に多くの時間を取られる |
表を見ると分かるように、ノンコア業務の多くは「転記」「集計」「回付」「確認」の4つの作業でできています。
これらは手順が決まっていて、判断の幅が小さい作業です。
手順が決まっている作業ほど、後で紹介する「型にする」「システムに任せる」が効きます。
ノンコア業務とコア業務の見分け方|4つの質問
実際の現場では、1つの仕事のなかにコアとノンコアが混ざっています。
たとえば見積書の作成なら、「価格をいくらにするか決める」のはコア業務です。
一方で「決めた価格を書式に入力し、PDFにして送る」のはノンコア業務です。
業務を分解したうえで、次の4つの質問にあてはめると見分けやすくなります。
- 質問1:この作業の出来ばえで、顧客が自社を選ぶ理由が変わるか
変わらないならノンコア業務の可能性が高いです。 - 質問2:手順を書き出せば、入社1か月の人でもできるか
できるなら、判断が少ないノンコア業務です。 - 質問3:同じ作業が毎日・毎月くり返し発生しているか
くり返しが多いほど、減らしたときの効果が大きくなります。 - 質問4:他社でもほぼ同じやり方をしているか
どの会社でも同じなら、自社の強みにはなりにくい業務です。
4つのうち3つ以上があてはまる作業は、ノンコア業務として削減の候補にしてよいでしょう。
逆に、質問1で「変わる」と答えた作業は、時間がかかってもコア業務として残すべきです。
中小企業でノンコア業務が増え続ける3つの理由
ノンコア業務は、放っておくと少しずつ増えていきます。
中小企業でよく見られる理由は次の3つです。
理由1:ツールが増えるたびに「つなぐ作業」が生まれる
Excel、会計ソフト、チャットツールなど、業務ごとに別のツールを使う会社は少なくありません。
ツール同士がつながっていないと、データを書き写す作業が発生します。
この転記作業は、ツールを1つ増やすたびに増えていきます。
理由2:例外対応のルールが担当者の頭の中にある
「この取引先だけは締め日が違う」「この場合は相殺して処理する」といった例外ルールは、担当者の経験として蓄積されがちです。
ルールが書き出されていないと、担当者以外は作業できません。
結果として、ノンコア業務がベテラン社員に集中します。この状態については「自分がいないと回らない」会社から抜け出す方法も参考にしてください。
理由3:事業が伸びるほど件数が比例して増える
取引先が2倍になれば、請求書の発行も入金の確認も2倍になります。
手作業のままだと、売上が伸びるほど事務の負担も重くなる構造です。
人を増やして対応するやり方は、件数が増え続ける限り追いつきません。
ノンコア業務を減らす3つのメリット
ノンコア業務を減らす効果は、単に残業が減ることだけではありません。
中小企業にとって特に大きいのは、次の3つです。
メリット1:コア業務に使える時間が増える
月20時間の転記作業がなくなれば、その20時間を提案や改善に使えます。
人を増やさずに、売上につながる仕事の量を増やせるのが最大のメリットです。
メリット2:ミスと確認の手間が減る
転記や手入力が減れば、入力ミスとそれを見つけるための確認作業も一緒に減ります。
請求書の金額違いのように、取引先との信頼に関わるミスを防ぐ効果もあります。
メリット3:担当者が変わっても業務が止まらない
ノンコア業務を型にしたりシステムに任せたりすると、手順が個人の経験から切り離されます。
退職や休職があっても、ほかの社員が同じように作業を続けられます。
「人が変わっても回る状態」をつくることが、小さな会社ほど大きな守りになります。
ノンコア業務を減らす4つの方法
ノンコア業務を減らす方法は、大きく4つに分けられます。
上から順に検討すると、ムダな投資を避けられます。
| 方法 | 内容 | 向いている業務 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. やめる(廃止) | 誰も使っていない作業や帳票をなくす | 惰性で続いている報告書、二重チェック | ほぼゼロ |
| 2. 型にする(標準化) | 手順書・テンプレート・ルールを整える | 担当者ごとにやり方が違う作業 | 社内の工数のみ |
| 3. 外に出す(アウトソース) | 代行会社や専門家に任せる | 量の波が大きい作業、専門知識が必要な作業 | 毎月の委託費 |
| 4. システムに任せる(システム化) | 転記・集計・通知を仕組みで自動化する | 毎月くり返す大量の作業、複数ツールをまたぐ作業 | 初期費用+保守費 |
方法1:やめる(廃止)
最初に検討すべきなのは、その作業自体が本当に必要かどうかです。
「前任者から引き継いだから続けている」だけの集計表や報告書は、意外と多く残っています。
業務の要・不要を見直す観点はその業務、本当に必要ですか?システム化前に業務を見直す5つの視点で詳しく解説しています。
方法2:型にする(標準化)
やめられない作業は、誰がやっても同じ結果になるように手順をそろえます。
手順書やテンプレートを整えるだけでも、確認や問い合わせの時間が減ります。
標準化は、次のアウトソースやシステム化の前提にもなります。
方法3:外に出す(アウトソース)
経理の記帳や電話の一次受付など、量の波が大きい作業は外部に任せる選択肢があります。
社内に人を抱えずに済む一方で、毎月の委託費がかかり続けます。
社内と外部のあいだでデータを受け渡す作業が新たに生まれる点にも注意が必要です。
方法4:システムに任せる(システム化)
毎月くり返し発生し、件数が多い作業はシステム化の効果が大きくなります。
システム化の本当の効果は「作業を速くする」ことより、「転記や受け渡しという作業そのものをなくす」ことにあります。
次の章で、実際の事例を紹介します。
4つの方法をさらに細かく比較したい場合は、業務課題の解決手段は7つある|Excel改善からスクラッチ開発までの選び方もあわせてご覧ください。
ノンコア業務をシステム化で減らした3つの事例
ここからは、当社が開発を担当したシステムのなかから、ノンコア業務の削減につながった事例を紹介します。
いずれも「転記」「集計」「受け渡し」がどうなくなったかに注目してください。
事例1:運送会社|配車から請求・入金までの転記をなくした
ある運送会社では、配車状況をホワイトボードと表計算ソフトで管理していました。
月末には、そのデータを請求書用のExcelへ手作業で転記していました。
さらに、請求の数字を社内でまとめ、社外の経理担当の専門家へ月に1度ファイルで渡す運用でした。
開発したシステムでは、配車情報を登録すると締め日に応じて請求書へ自動で反映されます。
入金の消込や売掛金の集計も、同じ画面で行えるようにしました。
社外の専門家も同じシステムにログインして確認できるため、月次のファイル受け渡し自体が不要になっています。
| ノンコア業務 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 請求書の作成 | 配車データを手作業で転記 | 配車データが自動で反映 |
| 社外との情報共有 | 月に1度まとめて提出 | 双方が同じ画面にログインして確認 |
| 売掛金の管理 | 別のExcelで管理 | 相殺・繰越まで同じ画面で管理 |
| 配車状況の確認 | 事務所でホワイトボードを見る | スマートフォンからどこでも確認 |
この事例で大きかったのは、相殺や繰越といった曖昧だった会計ルールを1つに整理し直したことです。
ルールを言語化してシステムに落とし込んだことで、担当者が変わっても同じ運用ができる状態になりました。
この事例の詳細は、以下のページでご覧いただけます。

事例2:医療機関向けの請求業務|大量データの手入力をCSV取込に置き換えた
医療機関と読影医のあいだで発生する請求書と支払通知書を発行するシステムの事例です。
請求のもとになる項目が膨大で、1件ずつ手入力するのは現実的ではありませんでした。
そこで、用意したCSVファイルを取り込むだけで大量のデータをまとめて登録できる仕組みを導入しました。
あわせて「どのデータが、どのタイミングで、どの帳票に反映されるか」を整理しています。
結果として、請求書の発行にかかる時間を大幅に短縮できました。
詳しくは請求書・支払通知書発行システムの開発事例をご覧ください。
事例3:経理の支払業務|請求書の読み取りと振込データ作成を1つの流れにした
ある会社の支払業務は、毎月シートを1枚ずつ増やしてきた1冊のExcelファイルで回っていました。
紙やPDFで届いた請求書を見ながら業者名と金額を転記し、2つの拠点に金額を振り分けていました。
銀行へ渡す振込データも、銀行のサイトに1件ずつ入力する必要がありました。
開発したシステムでは、スキャンした請求書をボタン1回で取り込み、AIで業者名と金額を読み取ります。
読み取り結果は原本と左右に並べて確認でき、最後に振込データ(全銀データ)を出力できます。
運用で見られていなかった請求書番号などの項目は思い切って廃止し、人が入力するのは合計金額だけにしました。
システム化と同時に「使っていない項目をやめる」判断をしたことが、確認作業を減らす決め手になりました。
詳しくは請求書のAI読み取りを組み込んだ支払業務システムの開発事例で紹介しています。
ノンコア業務の削減を進める5つのステップ
ノンコア業務を減らすときは、いきなりツールを選ぶのではなく、次の順番で進めると失敗しにくくなります。
- 業務を書き出す
部門ごとに1週間の作業を書き出し、1回あたりの時間と月の回数を記録します。 - コアとノンコアに分ける
前述の4つの質問を使い、作業単位で仕分けます。 - 時間の大きい順に並べる
「1回の時間×月の回数」で月の合計時間を出し、大きいものから着手します。 - 減らす方法を選ぶ
やめる→型にする→外に出す→システムに任せる、の順に検討します。 - 小さく試して広げる
1つの部門・1つの業務で効果を確かめてから、ほかの業務へ広げます。
ステップ1の書き出しでは、次のような表を作ると全体が見えやすくなります。
| 作業 | 担当 | 1回の時間 | 月の回数 | 月の合計 | 判定 | 減らし方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 請求書の作成・送付 | 経理A | 20分 | 60回 | 20時間 | ノンコア | システム化 |
| 配車表から請求書への転記 | 事務B | 3時間 | 4回 | 12時間 | ノンコア | システム化 |
| 週次の売上報告書 | 営業C | 1時間 | 4回 | 4時間 | ノンコア | やめる |
| 取引先への価格提案 | 営業C | 2時間 | 8回 | 16時間 | コア | 残す |
※表の数値は記入例です。自社の実態にあわせて書き換えてください。
月の合計時間が大きく、しかも毎月くり返す作業から手をつけるのが近道です。
削減できた時間をコア業務にどう振り向けるかも、あわせて決めておきましょう。
ノンコア業務をシステム化するときの注意点
システム化は効果が大きい反面、進め方を誤るとかえって作業が増えることもあります。
特に次の4点に注意してください。
- 今のやり方をそのままシステムに写さない
不要な項目や手順まで再現すると、入力の手間が残ります。やめられるものは先にやめます。 - 例外ルールを先に言語化する
担当者の頭の中にある例外処理を書き出さないと、システムで対応できず手作業が残ります。 - 現場が使い慣れた形式を残す
請求書のレイアウトやExcel出力など、取引先や現場が慣れている形は再現したほうが定着します。 - 人の確認が必要な部分は残す
振込先の判定のように間違いが許されない作業は、自動化しきらず人が確認する設計にします。
市販のツールやSaaSで済む業務もあります。
一方で、取引先ごとの締め日や会計ルールなど、自社独自のルールが多い業務はパッケージに合わせにくい傾向があります。
Excelで回している業務をシステムにする効果はエクセルをシステム化する5つのメリットでも整理しています。
ノンコア業務に関するよくある質問
Q. ノンコア業務とバックオフィス業務は同じ意味ですか?
重なる部分は大きいものの、同じではありません。
バックオフィス業務は経理・総務・人事など「部門」の呼び方です。
ノンコア業務は「売上や強みに直接つながるかどうか」という視点での分類です。
営業部門の日報入力や見積書の清書のように、フロント部門にもノンコア業務はあります。
Q. ノンコア業務はすべて外注やシステム化すべきですか?
すべてを外に出す必要はありません。
件数が少ない作業や、社内で状況を把握しておきたい作業は、標準化して社内に残すほうが合理的な場合もあります。
月の合計時間と、間違えたときの影響の大きさで判断してください。
Q. アウトソースとシステム化は、どちらを先に検討すべきですか?
作業の量が毎月ほぼ一定で、ルールがはっきりしているならシステム化が向いています。
量の波が大きい作業や、専門資格が必要な作業はアウトソースが向いています。
迷う場合は、まず標準化して手順を書き出してください。
手順が書ければ、外部にもシステムにも任せられる状態になります。
Q. 小さな会社でもシステム化する意味はありますか?
あります。
社員が少ない会社ほど、1人がノンコア業務に取られる時間の影響が大きくなるためです。
最初から大きなシステムを作らず、効果の大きい1業務から始める方法もあります。
Q. どの業務からシステム化すればよいか分かりません。
「毎月くり返す」「件数が多い」「複数のツールに同じ内容を入力している」の3つがそろう業務が第一候補です。
請求書の発行や、配車表・在庫表から別の帳票への転記がよく当てはまります。
まとめ|ノンコア業務を減らして、コア業務に時間を戻す
ノンコア業務は、事業に欠かせない一方で、社員の時間を少しずつ奪っていく業務です。
減らすときは、次の順番で考えるのがおすすめです。
- 業務を書き出し、4つの質問でコアとノンコアに分ける
- 月の合計時間が大きい作業から着手する
- やめる→型にする→外に出す→システムに任せる、の順で方法を選ぶ
- システム化するなら、転記や受け渡しという作業そのものをなくす設計にする
ノンコア業務を減らす目的は、空いた時間を売上や強みにつながる仕事へ戻すことです。
どこから手をつけるべきか迷う場合は、まず1週間分の作業を書き出すところから始めてみてください。
株式会社みんなシステムズでは、業務の整理から、転記や集計をなくすシステムの開発までを一貫してお手伝いしています。
「この作業はシステム化で減らせるのか」といった段階のご相談も歓迎です。
お気軽にお問い合わせください。