開発前の課題
今回の案件は、医療機関と読影医の間で発生する診断依頼・診断結果のやり取りにともなう帳票を発行するためのシステム開発です。
発行する帳票は「請求書」および「支払通知書」の二種類です。
システムに関わる3者の役割
このシステムには、以下の登場人物が関係します。
| 登場人物 | 説明 | できること |
|---|---|---|
| 読影医 | 医療機関より診断依頼を受け診断を実施する。診断結果を医療機関へ返し、支払通知を受ける。 | 本システムでの操作は発生しない |
| 医療機関 | 読影医に対し診断依頼を実施する。読影医から診断結果を受け取り、請求を受ける。 | 本システムでの操作は発生しない |
| システム管理者 | 本システムを運用管理する。 | 請求書・支払通知書の発行など |
読影医と医療機関は、本システムを直接操作しません。実際にシステムを触るのはシステム管理者だけという前提で設計を進めました。
最大の課題は「扱うデータ量の多さ」
開発前の最大の課題は、扱うデータ量の多さでした。請求のもととなる項目は膨大です。
これらの大量データをどのようにシステムへ取り込み、最終的に整理された請求書として出力するかが大きなポイントでした。
- 請求のもととなる項目が膨大:一件ずつ手入力で登録していくことは現実的ではない
- 大量データの取り込み方:どうやってシステムへ取り込むか
- 整理された帳票としての出力:取り込んだデータをどう請求書として出すか
取り込みから請求書出力までの流れをいかに効率化するかが求められていました。
ご提案
手入力をやめ、まとめて取り込む
そこで私たちは、各データをシステムへ手入力するのではなく、CSVによる一括インポート機能を導入することをご提案しました。
あらかじめ用意したCSVファイルを取り込むだけで、大量のデータをまとめてシステムへ登録できる仕組みです。
これにより入力作業そのものを大幅に削減し、膨大なデータにも耐えられる運用を実現します。
手入力とCSV一括インポートの違い
| 比較項目 | 手入力での登録 | CSV一括インポート |
|---|---|---|
| 登録の単位 | 一件ずつ登録する | 大量のデータをまとめて登録する |
| 膨大な項目への対応 | 現実的ではない | あらかじめ用意したCSVを取り込むだけ |
| 入力作業の量 | データ量に比例して増える | 大幅に削減できる |
開発アプローチ
まずはデータの流れ(フロー)を整理する
開発にあたっては、まずデータの流れ(フロー)を整理することから着手しました。
医療機関と読影医の間でやり取りされる読影データを起点に、それらのデータをシステムへ取り込み、最終的に請求書を発行して支払通知を行うまでの一連のフローを可視化・整理しています。
「どのデータが、どの帳票に反映されるのか」を明確にする
フローの整理では、次の3点を明確にしました。
- どのデータが:読影データのどの項目を使うのか
- どのタイミングで:いつシステムに反映されるのか
- どの帳票に反映されるのか:請求書か、支払通知書か
これらを明確にすることで、大量データを扱いながらも、正確で漏れのない請求書・支払通知書の発行を実現する設計としています。
実装した主な機能
実装した4つの機能
整理したフローをもとに、本システムでは主に以下の機能を実装しました。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| CSV一括インポート機能 | 膨大な項目・大量データをまとめて取り込み、手入力の手間を排除 |
| 請求書発行機能 | 取り込んだデータを整理し、医療機関向けの請求書として出力 |
| 支払通知書発行機能 | 読影医向けの支払通知書を発行 |
| システム管理者による発行管理 | 請求書・支払通知書の発行を一元的に管理 |
読影医・医療機関の操作は発生しない
読影医・医療機関はシステムを直接操作することがありません。
システム管理者側で帳票の発行までを完結できる構成としています。
導入による効果
請求書発行にかかる時間を大幅に短縮
本システムの導入により、これまで定時に行っていた作業や請求書の発行にかかる時間を大幅に短縮することができました。
担当者の作業負荷軽減と業務効率化
手入力で行っていた作業をCSVの一括インポートに置き換えたことで、大量データの取り込みがスムーズになりました。
結果として、担当者の作業負荷軽減と業務効率化につながっています。
まとめ
二つのアプローチで課題を解決
今回の案件では、「膨大なデータをいかに効率よくシステムへ取り込み、正確な請求書・支払通知書として出力するか」という課題がありました。
これに対し、次の二つのアプローチで解決しています。
- CSV一括インポート機能:大量データの取り込みを効率化する
- データフローの整理:どのデータがどの帳票に反映されるかを明確にする
大量データを扱う帳票発行業務のポイント
大量データを扱う帳票発行業務では、入力作業の効率化とデータの流れの明確化が成否を分けるポイントになります。
同様の課題をお持ちの方の参考になれば幸いです。