導入前の課題:古い技術で作られた提案ツールが、更新も配布もできない
このお客様は住宅設備機器を扱うメーカー様で、営業担当がお客様との商談で使う「提案書作成システム」を長年運用されていました。商品の色やオプションを画面上で選ぶと完成イメージが合成表示され、そのまま提案書として印刷できる、営業活動の中核となるツールです。
しかしこのシステムは、すでにサポートが終了した世代のデスクトップアプリ技術で作られており、次のような問題を抱えていました。
- 改修できるエンジニアがほとんど残っておらず、不具合があっても直せない
- 商品データや商品画像がプログラム内部に埋め込まれており、商品追加や仕様変更のたびに外部への改修依頼が必要
- 各パソコンにインストールして使う方式のため、営業担当の端末ごとに配布・更新の手作業が発生する
- OSのアップデートで動作しなくなるリスクが年々高まっていく
「いつ動かなくなってもおかしくないシステムに、営業活動の根幹を預けている」——この状態を解消するため、Webシステムとして作り直すご依頼をいただきました。
解決策:ブラウザだけで使えるWeb提案書作成システムを新規構築
旧システムの操作感や提案書のレイアウトはそのままに、ブラウザさえあれば使えるWebシステムとして再構築しました。
- 完成イメージの合成表示: 商品タイプ・色柄・オプションを選ぶと、選んだ組み合わせの完成イメージがその場で合成表示されます
- 提案書の出力: 完成イメージに顧客情報・おすすめ商品・お知らせ枠を添えたA4の提案書を、そのままPDFとして出力できます
- 商品マスタの内製化: 商品や色柄の追加・並び替え・掲載停止を管理画面から自社で行えるようにし、「商品が変わるたびに開発会社へ依頼する」運用から脱却しました
- 下書き保存と履歴: 作成途中の提案書の保存、過去の提案書のコピー・再編集にも対応しました
インストール型からWeb型になったことで端末ごとの配布作業は不要になり、営業担当は社内でも出先でも、常に最新の商品データで提案書を作れるようになりました。
工夫①:過去の提案書を「当時の見た目のまま」再出力できる仕組み
営業の現場では、「以前お渡しした提案書をもう一度出してほしい」と依頼されることがあります。ところが商品の仕様や色柄は改定されていくため、単純に作り直すと「当時と内容が違う提案書」ができてしまいます。
そこで本システムでは、商品情報を更新しても過去の版を内部に残す「版管理」の仕組みを採用しました。あわせて、提案書を出力した時点の内容を記録しておくことで、何年か前に出力した提案書でも、当時の商品名・当時の画像・当時のレイアウトのまま再出力できます。
地味な機能に見えますが、「お客様に一度お渡しした書類を、いつでも同じ内容で再現できる」ことは、提案書という書類の性質上とても重要なポイントです。
工夫②:旧システムに眠っていた大量の商品画像をどう引き継いだか
今回のリプレイスで実は最も神経を使ったのが、新機能の開発ではなく旧システムからの画像データの移行でした。
旧システムの内部には、長年蓄積された商品画像が大量に埋め込まれていました。しかも同じ商品でも「完成イメージの合成に使う画像」「選択画面の一覧に出す画像」「提案書に掲載する画像」と用途の異なる画像が混在しており、単純にコピーするだけでは正しく動きません。
そこで次の手順で移行を進めました。
- 旧システム内の全画像を洗い出し、用途別(合成用/一覧表示用/提案書掲載用)に分類する
- 旧システムの商品IDと新システムのデータを突き合わせる対応表を作成する
- 対応表をもとに画像を自動で取り込むプログラムを用意し、手作業によるミスを排除する
- 取り込み結果を目視確認できる一覧を自動生成し、お客様にも確認いただきながら進める
リプレイス案件では、新システムの機能ばかりに目が行きがちですが、旧システムに蓄積されたデータや画像をどう安全に引き継ぐかの設計が、完成後の品質を大きく左右します。見積や計画の段階で「データ移行」が軽く扱われている場合は、注意が必要です。
導入効果
- 営業担当はブラウザだけで提案書を作成でき、端末ごとのインストール・更新作業が不要になった
- 商品の追加・変更を自社の管理画面で完結でき、外部への改修依頼が不要になった
- 過去に出力した提案書を、当時の内容のまま再出力できるようになった
- サポート切れ技術への依存がなくなり、「いつ止まるかわからない」リスクを解消した
本事例のまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | サポート切れ技術の提案書作成システム。改修不能・商品データ埋め込み・端末ごとの配布作業 |
| 解決策 | 操作感を引き継いだWeb提案書作成システムを新規構築。商品マスタは自社で管理可能に |
| 工夫 | 過去の提案書を当時のまま再出力できる版管理/旧システムの画像資産を用途別に整理して安全に移行 |
| 効果 | 配布作業の撤廃、商品更新の内製化、過去提案書の再現、レガシー依存リスクの解消 |
古いシステムのリプレイスは、「同じものをWebで作り直す」だけでは終わりません。長年の運用で蓄積されたデータや画像という資産をどう引き継ぐか、業務の実態に合わせてどこを改善するかまで含めて設計することが成功の鍵です。
「社内に古いシステムが残っているが、どこから手をつければいいかわからない」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひみんなシステムズにお気軽にご相談ください。