本案件では、賃貸ビル・店舗・事務所などのテナント物件について、不動産仲介会社などの利用者が会員登録なしで空室状況を確認し、物件資料をダウンロードできる「物件確認(物確)システム」をフルスクラッチ開発しました。
本記事では、開発前の課題、ご提案したアプローチ、実装した主な機能を整理してご紹介します。
今回のポイントは、基幹データベースから管理対象物件の情報を取り込み、Web上で空室確認を自動化すると同時に、「どの物件にどの業種から反響があったか」を集計・分析できる仕組みを組み込んだ点です。
開発前の課題
クライアントでは、他の不動産会社から寄せられる「この物件は空いているか」という問い合わせに対し、電話やメールで一件ずつ空室の可否を回答していました。常時20〜30件の物件を扱い、問い合わせも今後の増加が見込まれる中で、この対応が日々の負担となっていました。
さらに、利用者に顧客情報を入力させずに使ってもらいたい一方で、運営側としては「どの物件が、どの業種から問い合わせされているか」を把握して傾向分析に活かしたいというニーズがありました。
物件情報そのものは既存の基幹データベースで自社管理されており、その中から自社管理物件だけを抽出して、外部の不動産会社が確認できる形で公開する仕組みが求められていました。
ご提案・開発アプローチ
基幹データベースから管理対象の物件情報を抽出してシステム側に取り込む連携を実現。
取り込んだ物件はデフォルト非公開とし、管理者が「公開」操作を行った物件だけを、利用者がURLから空室状況を確認できる設計としました。これにより、公開範囲を運営側が完全にコントロールできます。
利用者側は登録不要で物件を確認できる一方、閲覧・問い合わせの履歴を蓄積し、業種別の傾向を管理画面から把握できるようにしました。
これで「電話対応の手間の削減」と「反響データの可視化」という2つの目的を同時に満たしています。
実装した主な機能
- 基幹データベースからの物件情報連携
- 物件情報の管理
- 物件の公開/非公開の切り替え
- URLによる登録不要での空室状況確認
- 物件検索(物件名・最寄駅・住所などの条件検索)
- 募集状況の表示(募集中/申込あり 等のステータス)
- 問い合わせ・閲覧履歴の記録と一覧表示
導入による効果
これまで電話やメールで個別対応していた空室確認を、Web上で利用者自身が完結できるようになり、問い合わせ対応の手間を大きく削減できました。
公開/非公開を管理者がコントロールできるため、見せたい物件だけを安全に外部公開でき、PDF資料も図面番号で自動整理されるため運用がシンプルになりました。あわせて、利用者に負担をかけずに「どの物件がどの業種から見られているか」という反響データを蓄積・分析できるようになり、需要傾向の把握や営業判断に活かせる仕組みが整いました。
まとめ
本事例は、電話・メールに依存していた物件の空室確認業務を、基幹データベース連携とWeb公開によって自動化した「物件確認システム」の新規開発です。
登録不要の利用者向け空室確認と、運営者向けの公開管理・反響分析を一体で実装したことで、対応工数の削減とデータ活用を同時に実現しました。図面番号での資料自動整理など、既存の業務ルールに合わせた細やかな設計も、現場で使いやすい仕組みづくりのポイントとなっています。