「今のシステム開発会社と連絡が取りづらくなってきた…」
「担当者が辞めてしまい、システムの中身が分かる人がいない…」
システムは作って終わりではなく、何年も使い続けるものです。その間に、開発会社の変更や担当者の交代など、「引き継ぎ」が必要になる場面は必ずといっていいほど出てきます。
ただ、システム開発の引き継ぎは、なんとなく進めると様々なトラブルにつながりやすいです。
この記事では、システム開発の引き継ぎを検討している企業様に向けて、よくあるトラブルと、失敗しないためのポイントを5つに絞って解説します。引き継ぎ前に準備しておきたいチェックリストも用意しましたので、ぜひ最後までご覧ください。
システム開発の引き継ぎが必要になるのはどんなとき?
まずは、どんな場面で引き継ぎが発生するのかを整理しておきましょう。代表的なものは次の4つです。
| ケース | よくある状況 |
|---|---|
| 開発会社を変更する | 今の経営方針にシステムが合わずリニューアルをする、対応が遅い、費用が高い、連絡が取りづらい、今の会社に不満がある |
| 開発会社が撤退・廃業する | 事業縮小や倒産で、保守を続けてもらえなくなった |
| 社内の担当者が交代する | 発注側の担当者が異動・退職し、システムの経緯を知る人がいなくなった |
| 内製と外注を切り替える | 社内エンジニアの退職や体制の見直しで、開発の担い手が変わる |
ポイントは、どのケースでも「システムの中身を知っている人がいなくなる」という点は同じだということです。
ソースコードだけが手元にあっても、「なぜこの作りになっているのか」「どこを触ると何に影響するのか」が分からなければ、安全に開発を続けることはできません。
ここが、引き継ぎの難しさであり、事前の準備が必要な理由です。
システム開発の引き継ぎでよくあるトラブル
引き継ぎがうまくいかないと、次のようなトラブルが起こりがちです。
- ソースコードやサーバーの権限がもらえず、開発が止まってしまう
- 設計書やマニュアルがなく、仕様がわからない。調査だけで多くの時間がかかってしまう
- 前の会社しか知らない設定や仕様があり、想定外の不具合が出る
- ドメインや外部サービスの契約が前の会社名義で、移管に手間取る
- 引き継ぎで前の会社と揉める(ストレスも溜まる)
どれも、事前に対策をすることで防げる・または影響を抑えることが可能です。次の章で、防ぐためのポイントを見ていきましょう。
システム開発の引き継ぎで失敗しない【5つのポイント】
それでは本題です。よくあるトラブルを踏まえると、引き継ぎをスムーズに進めるポイントは次の5つに整理できます。
| ポイント | 確認すること |
|---|---|
| ① 成果物の所有権と権限を確認する | ソースコード・サーバー・ドメインなどが自社のものになっているか |
| ② 資料をそろえる | 設計書・仕様書・マニュアルなど、システムを理解するための資料があるか |
| ③ 引き継ぎ期間を確保する | 前の会社と新しい会社が並走できる期間があるか |
| ④ 引き継ぎに慣れた会社を選ぶ | 他社が作ったシステムを引き継いだ実績があるか |
| ⑤ 引き継ぎ後の体制を決めておく | 保守の範囲・連絡方法・費用が明確になっているか |
① 成果物の所有権と権限を確認する
最初に確認したいのが、システムに関わるものが自社のものになっているかどうかです。
具体的には、次のようなものです。
- ソースコード(著作権がどちらにあるか)
- サーバー・クラウド(AWSなど)のアカウント
- ドメイン・SSL証明書
- 外部サービス(決済・メール配信など)の契約
- 管理者アカウントとパスワード
契約書で「著作権は開発会社に帰属する」となっている場合、ソースコードを自由に改修できないこともあります。まずは契約書と、各種アカウントの名義を確認しましょう。
② システムを理解するための資料をそろえる
次に、資料です。
引き継ぎ先の会社は、ゼロからシステムを理解しなければなりません。資料が少ないほど調査に時間がかかります。
最低限、次の資料があると引き継ぎがスムーズになります。
- システム仕様書
- 画面遷移図・機能一覧
- テーブル定義書
- サーバー構成図
- 運用マニュアル、過去の障害対応の記録
場所によっては、ない場合もあります。過去に、時が経ち、担当者が変わりすぎてドキュメントの類があれこれ紛失しているケースを何度か目撃したことがあります。。残念ながら、完璧に残っていることの方が珍しいかもしれません。その場合は、それに準ずるものを用意してもらえないか、前の会社に連絡を取りましょう。
③ 引き継ぎ期間を確保する
引き継ぎは、前の会社との契約が切れてから始めるのでは遅すぎます。
前の会社と新しい会社が1〜3か月ほど並走できる期間を確保することです。できれば、必要な時間を事前に相談して見積もり、その期間を確保できることが理想です。その間に質問対応をしてもらえると、調査の手戻りを大きく減らせます。
前の会社との関係が悪化している場合でも、「最低限の質問対応だけはお願いする」など、落としどころを探っておくとよいでしょう。質問・確認事項も整理してまとめておくとさらに良いです。
④ 引き継ぎに慣れた開発会社を選ぶ
新しい開発会社を選ぶときは、他社が作ったシステムを引き継いだ実績があるかを確認しましょう。
自社で一から作るのと、他社のコードを読んで改修するのとでは、必要なスキルが違います。
相談の段階で、次のような点を見ておくと安心です。
- 引き継ぎの進め方(調査→ドキュメント化→改修)を具体的に説明してくれるか
- 使われている技術(言語・フレームワーク)に対応できるか
- 「まずは調査から」と段階的な提案をしてくれるか
いきなり「全部作り直しましょう」と提案してくる場合は、少し立ち止まって検討したほうがよいでしょう。違和感がある場合も、しっかりコミュニケーションをとって確認をしましょう。
⑤ 引き継ぎ後の体制を決めておく
最後に、引き継ぎ後の体制です。
引き継ぎが終わった後、誰が・どこまで・いくらで対応するのかを決めておかないと、後で問題が起こりえます。
- 保守の範囲(障害対応のみか、小さな改修も含むか)
- 連絡方法と対応時間
- 月々の保守費用
引き継ぎ前に準備したいチェックリスト
最後に、引き継ぎの前に確認・準備しておきたい項目をチェックリストにまとめました。
- ソースコードの著作権が自社にあるか(契約書を確認)
- ソースコードの最新版を受け取れるか
- サーバー・ドメイン・外部サービスの名義と管理者アカウントを把握しているか
- 設計書・仕様書・マニュアルがあるか
- 環境構築手順・リリース手順があるか
- 前の会社と並走できる期間を確保できるか
- 新しい会社に引き継ぎの実績があるか
- 引き継ぎ後の保守範囲・費用・連絡方法が決まっているか
すべてそろっていなくても大丈夫です。「何が足りないか」が分かるだけで、引き継ぎ先の会社との相談がスムーズになります。
引き継ぎ資料については、できれば、そもそものシステムの開発中に開発会社から一式もらう、開発中で厳しければ、リリース後に必ずもらうことが理想です。それらがシステムの引き継ぎ時点にない場合には、引き継ぎ時期で、対応するしかありません。しかし、その頃には担当者が何度も変わっている可能性があります。なるべく早め早めに、資料に関してはそろえておくことを推奨いたします。
まとめ
システム開発の引き継ぎで失敗しないためのポイントを、5つに絞ってご紹介しました。
- ① 成果物の所有権と権限を確認する
- ② システムを理解するための資料をそろえる
- ③ 引き継ぎ期間を確保する
- ④ 引き継ぎに慣れた開発会社を選ぶ
- ⑤ 引き継ぎ後の体制を決めておく
引き継ぎは、「コードを渡せば終わり」ではありません。システムの背景や運用まで含めて渡すことで、はじめて安心して使い続けられます。
「今の開発会社から引き継ぎたいが、何から手をつければいいか分からない」「資料が何もない状態でも引き継いでもらえるか相談したい」といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください🌸