クライアント様は、全国で運送事業を展開する事業者です。
本案件では、車両とドライバーの情報管理、免許・車検・保険などの期限管理、メンテナンス履歴の記録から、アラート通知・請求管理までを対象に、運送会社向けの一元管理システム「KURUMAN」の新規開発を行いました。
本記事では、開発前の課題、提案したアプローチ、実装した主な機能を整理してご紹介します。
今回のポイントは、「車両・ドライバーに関わる多岐にわたる期限管理を自動化し、コンプライアンス違反のリスクを未然に防ぎたい」という課題に対し、情報の一元管理からアラート通知、請求・プラン管理までを一つの流れで扱えることです。
開発前の課題
運送業では、車両の車検満了日や任意保険の更新期限、リース契約の終了日、ドライバーの運転免許の有効期限など、管理すべき期限が多岐にわたります。クライアント様では、これらの情報をExcelや紙の台帳で個別に管理しており、車両台数やドライバー数が増えるにつれて確認漏れのリスクが高まっていました。期限切れに気づかないまま車両を運行すれば法令違反につながり、事業の継続にも影響します。
また、車両ごとのメンテナンス履歴(定期点検、車検整備、オイル交換など)は担当者の記憶や個人のメモに依存しており、過去の整備内容をすぐに確認できない状況でした。ドライバーの情報についても、免許証の画像や保険加入状況、銀行口座情報などが複数の場所に分散しており、必要なときに必要な情報へたどり着くまでに時間がかかっていました。
さらに、管理対象が増えるほど、どの車両・どのドライバーの期限がいつ切れるのかを一覧で把握することが難しくなり、「期限が近づいていることに事前に気づける仕組み」が求められていました。加えて、請求や契約プランの管理も手作業で行っており、事業規模の拡大に合わせた効率的な運用体制の構築が課題となっていました。
ご提案・開発アプローチ
弊社はまず、車両とドライバーの情報を一つのシステムに集約し、期限管理を自動化する設計を提案しました。車検満了日、任意保険の更新期限、リース契約の終了日、運転免許の有効期限、エンジンオイルの交換時期、定期点検の到来日といった主要な期限を、システムが自動で監視します。期限までの残り日数に応じて青(情報)・黄(警告)・赤(緊急)の3段階でアラートを表示し、担当者へメールでも通知することで、確認漏れを防ぐ仕組みにしています。
次に重視したのが、情報の一元管理と業務の効率化です。ドライバーの個人情報、免許証画像、保険加入状況、銀行口座情報、車両の登録情報、メンテナンス履歴、保険証書や車検ステッカーの画像などを、すべてシステム上で管理できるようにしました。CSVによるドライバー・車両情報の一括登録・出力にも対応し、既存のExcel台帳からのデータ移行や、社内の他システムとのデータ連携を容易にしています。
管理画面の権限は、利用企業の担当者とシステム管理者で分離しました。利用企業の担当者は自社の車両・ドライバー情報の登録・編集・閲覧に集中でき、システム管理者側では全企業の管理、お知らせの配信、請求データの管理・出力、契約プランの変更といった運営業務を行えます。
技術面では、LaravelとMySQLを基盤に、Dockerによるコンテナ化で開発・運用環境を統一しました。画像ファイルはAWS S3で管理し、署名付きURLで安全に表示する構成としています。開発は弊社3〜4名の体制で進め、クライアント様のご担当者と業務ルールや画面仕様を都度すり合わせながら実装しています。
実装した主な機能
- 車両情報の登録・編集・一覧管理(車種区分・登録番号・車両状況の管理)
- ドライバー情報の登録・編集・一覧管理(個人情報・免許情報・保険加入状況・口座情報)
- 免許証・車検ステッカー・保険証書・リース契約書などの画像アップロードと管理
- 車検満了日・免許有効期限・保険更新期限・リース終了日・オイル交換時期・定期点検到来日の6種類の自動アラート
- 青(情報)・黄(警告)・赤(緊急)の3段階カラーコード付きアラート表示
- アラート発生時の担当者へのメール自動通知
- 車両ごとのメンテナンス履歴の記録(一般整備・3か月/6か月/12か月点検・車検整備・事故修理)
- 乗車履歴の記録と管理
- CSVによるドライバー・車両情報の一括登録と一括出力
- 利用企業向けポータルと管理者向けポータルの分離
- 企業ごとの契約プラン管理(Sプラン:30名まで、Mプラン:80名まで)とプランアップグレード
- 月次請求データの自動生成とCSV出力
- 銀行振込・クレジットカードに対応した決済方法の管理
- 全企業向けのお知らせ配信機能
- IPアドレス制限による管理画面のセキュリティ強化
- アクセスログによる操作履歴の記録
導入による効果
車両とドライバーの情報がひとつのシステムに集約されたことで、担当者はExcelや紙の台帳を個別に確認する必要がなくなりました。必要な情報は検索や一覧画面からすぐに参照でき、免許証画像や保険証書もシステム上で確認できるため、書類を探す時間が大幅に削減されています。
期限管理の自動化により、車検や免許更新、保険の期限切れといったコンプライアンス上のリスクを事前に把握できるようになりました。3段階のカラーコード付きアラートとメール通知によって、対応の優先度が視覚的にわかり、確認漏れの防止につながっています。
運営側では、請求データの自動生成やCSV出力により、月次の請求業務にかかる工数が削減されました。契約プランの管理や企業情報の更新も管理画面から完結でき、手作業によるミスの発生を抑えています。IPアドレス制限やアクセスログの記録によって、セキュリティ面での安心感も確保されています。
CSVの一括登録機能により、既存のExcel台帳からのデータ移行もスムーズに行え、導入時の負担を最小限に抑えることができました。車両やドライバーの増加にも、プランのアップグレードで柔軟に対応できる構成になっています。
まとめ
車両・ドライバー管理を一元化|運送業向け管理システム開発事例では、多岐にわたる期限の自動監視と3段階アラート通知、車両・ドライバー情報の一元管理、メンテナンス履歴の記録、請求・プラン管理の効率化を中心に、運送業の実務に合わせた仕組みを整えたことがポイントです。
車両や免許の期限管理をシステムに任せ、アラートとメール通知で確認漏れを防ぐ設計にしたことで、コンプライアンス違反のリスクを低減しながら、管理業務の負担を大幅に軽減しました。利用企業と管理者で権限を分離し、それぞれの業務に必要な画面だけを操作できる構成としたことで、セキュリティと使いやすさを両立しています。
車両台数やドライバー数が増えても、プランのアップグレードとCSVの一括操作で対応でき、事業規模の拡大に合わせて無理なく運用を続けられる構成になっています。