自転車販売店様向けに、店舗在庫・受発注・売上・ウェブショップ在庫を一元管理するシステムを開発しました。本記事では、開発前に抱えていた課題から、ご提案内容、開発アプローチ、実装した主な機能、そして導入によって見込まれる効果までを、開発の現場目線でご紹介します。
開発前の課題
新システムを導入する前、お客様の現場では次のような課題が発生していました。
1. 在庫情報にタイムラグが発生していた
店舗で自転車が売れても、その情報が在庫データへ反映されるまでに時間差がありました。そのため「今この瞬間、どの店舗に何台あるのか」というリアルタイムの在庫を把握できず、店舗間の在庫確認や取り寄せの判断に手間がかかっていました。
2. ウェブショップの在庫と実在庫が一致しない
自転車をインターネットで販売するサイトを別途構築していましたが、こちらのサイト上の在庫数と、店舗にある実際の在庫状況をリアルタイムで連携させることができていませんでした。結果として、サイト上では在庫があるのに実際は売り切れている、といったズレが起こり得る状態でした。
3. 売上管理と在庫管理が別々に行われていた
売上のデータと在庫のデータをそれぞれ別の方法で管理していたため、データが分散し、確認や突き合わせの作業が煩雑になっていました。管理者や事務担当者にとって、日々の集計・確認作業が大きな負担となっていました。
ご提案
そこで私たちがご提案したのは、**「売上・在庫・ウェブショップ在庫の一元管理」**です。
バラバラに管理されていた情報を1つのシステムに集約し、店舗での販売が発生した瞬間に在庫へ反映される仕組みをつくること。そしてその在庫情報をウェブショップとも連携させ、リアルタイムで同じ数字を見られる状態にすること。
これにより、店舗管理者や事務員の方が行っていた「確認・転記・突き合わせ」といった作業を減らし、作業負担そのものを軽減することを目指しました。単なるシステム化ではなく、現場の手間をどれだけ削れるかを軸にご提案を組み立てています。
開発アプローチ
開発にあたっては、いきなり機能をつくり始めるのではなく、まず現行の業務フローの整理から着手しました。
- 各店舗における在庫確認の流れ — 誰が、どのタイミングで、何を見て在庫を確認しているのか
- 受発注の流れ — 店舗から本部、本部から仕入先へ、どのように発注が流れていくのか
- 本部の入出金フロー — 仕入・売上に伴うお金の動きをどこで記録し、どう管理しているのか
これらを一つひとつ洗い出し、業務の実態に沿った形でシステムの設計に落とし込んでいきました。
在庫管理システムは、業務フローの理解が浅いまま設計してしまうと「現場で使われないシステム」になりがちです。店舗側と本部側それぞれの動きを整理したうえで、どこをシステムに任せ、どこを人が判断するのかを明確にしたことが、今回の設計における重要なポイントでした。
実装した主な機能
マスター管理機能(管理者向け)
システムの土台となる各種マスターを、管理者が登録・管理できるようにしました。
- 商品マスター
- 仕入先マスター
- 入出金マスター
- 担当者マスター
- 店舗マスター
- 自転車カテゴリマスター(大分類・中分類・小分類の3階層)
自転車は車種やサイズ、用途などバリエーションが多いため、カテゴリを大・中・小の3階層で管理できる構成としました。これにより、商品数が増えても整理された状態を保てます。
レジ機能
今回の開発の核となる機能です。店舗で自転車を販売する際の会計をシステム側で行えるようにし、レジでの販売処理がそのまま在庫の減算へ連動する仕組みとしました。販売と在庫更新が一つの流れになることで、入力の二度手間とタイムラグの両方を解消します。
在庫管理機能
各店舗の在庫を一元的に把握できる機能です。レジ機能と連動し、販売のたびに在庫数が更新されます。ウェブショップの在庫とも連携する設計としました。
売上管理機能
レジで処理された販売データをもとに、売上を管理できる機能です。在庫と同じシステム上で管理されるため、これまでのようにデータを別々に照合する必要がありません。
受発注機能
店舗からの発注、仕入先への発注といった受発注の流れをシステム上で管理できるようにしました。
導入による効果
本システムは現在も開発中であり、まだリリース前の段階です。そのため実測値としての効果はこれからとなりますが、以下のような効果を見込んでいます。
大幅な作業負荷の軽減と時間短縮
これまで別々に管理していた売上・在庫・ウェブショップ在庫が一元化されることで、転記や突き合わせといった作業が不要になります。店舗管理者・事務員の方の日々の負担軽減と、作業時間の短縮が期待できます。
在庫管理の簡便化
レジ機能と在庫が連動するため、販売と同時に在庫が更新されます。「今の在庫はいくつか」を確認するための特別な作業が不要になります。
ウェブショップの在庫がリアルタイムで反映される
システム上の在庫がウェブショップへリアルタイムに反映されることで、サイトを訪れた利用者は実際の在庫状況と一致した情報を見ながら購入できるようになります。在庫のズレによる欠品連絡やキャンセル対応といった、購入後のトラブル対応の削減にもつながると考えています。
まとめ
今回の案件は、自転車販売店様における「在庫のタイムラグ」と「データの分散」という2つの課題に対し、レジ機能を軸とした在庫・受発注システムで応えたものです。
ポイントは大きく3つでした。
- レジと在庫を連動させる — 販売した瞬間に在庫が動く仕組みにすることで、タイムラグそのものをなくす
- 売上・在庫・ウェブショップ在庫を一元管理する — データの分散を解消し、突き合わせ作業をなくす
- 業務フローの整理から始める — 店舗の在庫確認・受発注、本部の入出金の流れを洗い出したうえで設計する
特に3つ目の「業務フローの整理」は、在庫管理システムの開発において最も時間をかけるべき工程だと、今回の案件を通じてあらためて感じました。現場がどう動いているかを理解しないまま機能をつくっても、実際の運用には乗らないためです。
本システムは引き続き開発を進めており、リリース後には実際の運用データをもとにした効果についても、あらためてご紹介できればと思います。
在庫管理や受発注業務の効率化、ECサイトとの在庫連携などでお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。