クライアント様は、全国の複数拠点でレジャー施設を運営する事業者です。
本案件では、カテゴリごとに分かれていたアクティビティの予約管理を対象に、予約受付から予約枠の管理・当日受付・決済・売上集計までを一つの基盤で扱う新規システム開発を行いました。本記事では、開発前の課題、提案したアプローチ、実装した主な機能を整理してご紹介します。
今回のポイントは、「複数カテゴリのアクティビティを別々のシステムで管理しており、外部予約サイトの予約も手作業のため予約枠を活かしきれていない」という課題への対応です。
カテゴリごとに異なる予約枠の数え方を一つのモデルへ統合し、外部予約サイトからの予約メールを自動で取り込むことで、すべての予約経路が同一の予約枠を参照する状態を実現しました。
開発前の課題
ご相談をいただいた時点で、現場では次の5つの課題が重なっていました。
| 課題 | 現場で起きていたこと |
|---|---|
| カテゴリごとに別システムで管理 | 予約状況を確認するだけでも、複数の画面を突き合わせる必要があった |
| カテゴリをまたいだ申し込みがしにくい | 同じ拠点で複数のアクティビティを楽しみたい利用者も、別々に申し込む必要があった |
| 外部予約サイトの予約を手作業で反映 | 予約枠のズレを避けるため常に余裕を持たせた枠数で運用し、受けられるはずの予約を取りこぼしていた |
| 当日受付がその場対応 | 誓約書の記入と参加者情報の確認を当日行うため受付が混雑し、繁忙期は現場運営を圧迫していた |
| 売上が複数システムに分散 | 拠点別・カテゴリ別の正確な集計に、手作業の突き合わせが必要だった |
予約状況の確認に、複数の画面を突き合わせていた
複数カテゴリのアクティビティを、それぞれ別のシステムで管理していました。拠点のスタッフは予約状況を確認するだけでも、複数の画面を突き合わせる必要がありました。
利用者も、同じ拠点で複数のアクティビティを楽しみたい場合は別々に申し込む必要があります。カテゴリをまたいだ申し込みが起きにくい状態でした。
外部予約サイトの予約は手作業、枠に余裕を持たせるしかなかった
外部予約サイトからの予約は、担当者が手作業で台帳へ反映していました。
そのため予約枠のズレを避けるには、常に余裕を持たせた枠数で運用せざるを得ません。本来受けられるはずの予約を取りこぼしていました。
当日受付の混雑と、売上集計の手作業
当日は誓約書の記入と参加者情報の確認をその場で行うため受付が混雑し、繁忙期には現場運営を圧迫していました。
売上も複数システムに分散していることから、拠点別・カテゴリ別の正確な集計には手作業の突き合わせが必要でした。
こうした状況から、利用者ごとの役割を整理し、予約受付から予約枠の管理・当日受付・決済・売上集計までを一連の流れとして扱える設計が求められました。
ご提案・開発アプローチ
拠点へ訪問し、現場の流れをその場で確認した
要件定義にあたっては、打ち合わせだけで仕様を固めませんでした。実際に拠点へ訪問し、受付から案内、アクティビティ実施までの流れをその場で確認しています。
カテゴリによって予約枠の数え方がそもそも違うこと、繁忙期に受付でどのような滞留が起きるのか、スタッフがどのタイミングで何を確認しているのか。ヒアリングだけでは出てこない運用を把握したうえで設計に入っています。
異なる予約枠の数え方を、一つの管理レイヤーへ統合した
アクティビティによって、予約枠の数え方が異なります。今回は次の3つの数え方を、共通の管理レイヤーへ統合しました。
- 同時に受け入れられる人数で上限が決まるもの
- 用意できる設備の数で決まるもの
- 区画単位で管理するもの
その上に、時間枠・曜日区分・特定日の枠数上書きを重ねる構造としています。
これにより、カテゴリが違っても同じ操作感で予約枠を設定できます。繁忙期だけ枠を増やす・特定日を休業にするといった調整を、拠点側で完結できます。
すべての予約経路が、同じ予約枠を参照する形にした
あわせて、複数カテゴリを一度の手続きでまとめて申し込めるカート予約と、外部予約サイトの予約メールを自動解析して自社の予約枠へ反映する仕組みを構築しました。
予約の入り口は、次の3つです。
- 空き枠カレンダーからのオンライン予約
- 複数カテゴリをまとめて申し込むカート予約
- 外部予約サイトの予約メールの自動取込
4階層で操作範囲を分け、本部と拠点の導線を整理した
システム管理者・運営本部・各拠点・一般利用者の4階層で、操作範囲を分けました。
拠点は自拠点の予約と予約枠、本部は全拠点・全カテゴリ横断の売上と稼働を追える導線としています。
1年をかけて段階的に機能を積み上げた
開発は弊社4〜5名の体制に加え、クライアント様側のメイン担当4名と各アクティビティの責任者に参加いただきました。
現場の担当者にしか分からない運用を直接仕様へ反映しながら、1年をかけて段階的に機能を積み上げています。
実装した主な機能
実装した主な機能を、領域ごとに整理すると次のとおりです。
| 領域 | 主な機能 |
|---|---|
| 予約受付 | 空き枠カレンダーによるオンライン予約受付 複数カテゴリをまとめて申し込めるカート予約機能 外部予約サイトの予約メール自動取込 |
| 予約枠・料金 | 複数の管理方式に対応した予約枠管理 時間枠・曜日区分・特定日単位の予約枠設定と上書き 期間別の料金設定・改定履歴の保持・割引・オプション販売 |
| 当日運用・決済 | 電子誓約書への同意と事前アンケートのオンライン提出 クレジットカード決済・現地払いの選択とキャンセルポリシー連動の料金計算 予約台帳・当日参加者一覧・代理予約・返金処理などの拠点管理機能 |
| 集計・権限・通知 | 全拠点・全カテゴリ横断の売上集計とCSV出力 管理者・運営本部・拠点・利用者の4階層権限管理 リマインドメール・サンクスメールの自動送信 |
予約の受付から売上の集計までを、一つの基盤の上で扱える構成にしています。
導入による効果
導入前と導入後で、日々の運用がどう変わったかを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 予約の管理 | カテゴリごとに別のシステムで管理 | 受付から集計までを一つの流れで管理 |
| 利用者の申し込み | カテゴリごとに別々に申し込む | 一度の手続きで複数のアクティビティを申し込める |
| 予約枠の設定 | カテゴリごとに考え方が異なる | 考え方を統一し、拠点スタッフが自分たちで調整 |
| 外部予約サイトの予約 | 担当者が手作業で台帳へ反映 | 予約メールを自動で取り込み |
| 当日受付 | 誓約書と参加者情報をその場で確認 | 事前に提出された状態で当日を迎えられる |
| 売上の把握 | 手作業の突き合わせが必要 | 拠点別・カテゴリ別を集計作業を挟まずに把握 |
複数システムを突き合わせる作業がなくなった
予約受付・予約枠の管理・当日受付・決済・集計を一つの流れで管理できるようになり、複数システムを突き合わせる作業がなくなりました。
利用者が一度の手続きで複数のアクティビティを申し込めるようになったことで、カテゴリ間の送客が起きる状態になっています。
拠点スタッフが、自分たちで枠数を調整できるようになった
予約枠の設定の考え方がカテゴリを問わず統一されたため、拠点スタッフが需要に合わせて自分たちで枠数を調整できるようになりました。
手動調整のために空けていた余裕枠が不要になったことと合わせて、稼働率の改善につながっています。
当日受付の対応時間を短縮できた
当日受付も、誓約書と参加者情報が事前に提出された状態で迎えられるため、対応時間を短縮できました。
本部が集計作業を挟まずに、売上と稼働を把握できる
管理者は拠点別・カテゴリ別の売上や稼働状況を、集計作業を挟まずそのまま把握できます。
各拠点からの報告を待つことなく人員配置や販促を判断でき、運用後の改善にもつなげやすい仕組みです。
まとめ
本事例では、次の3点を中心に、業務に合わせた仕組みを整えました。
- カテゴリを問わず扱える予約枠管理
数え方の異なる予約枠を、一つのモデルへ統合した。 - 複数カテゴリのカート予約
利用者が一度の手続きでまとめて申し込めるようにした。 - 外部予約サイトの予約自動取込
手作業をなくし、すべての予約経路が同じ予約枠を参照する状態にした。
現地訪問と各アクティビティ責任者へのヒアリングを重ね、拠点ごとに違ってよい部分と本部で揃えるべき部分を切り分けたことで、現場の運用実態に合った形に整理しました。
関係者ごとの操作範囲と予約枠・売上の把握を整えることで、多拠点・多カテゴリの運営をスムーズに進められる仕組みにしています。