本案件では、病院の退院支援を担当する相談員(ソーシャルワーカー等)と介護施設、そしてサービス運営者の三者をつなぐ、医療介護マッチングプラットフォームをLaravelでフルスクラッチ開発しました。
本記事では、開発前の課題、ご提案したアプローチ、実装した主な機能を整理してご紹介します。
今回のポイントは、相談員・介護施設・運営者という3つの立場の登場人物を1つのプラットフォーム上でつなぎ、医療行政上の圏域区分に基づくエリアマッチングと、オファー承認から見学調整・成約までの一連の流れをオンラインで完結できる仕組みを構築した点です。
開発前の課題
病院からの退院にあたって介護施設への入所が必要になる場合、退院支援を担う相談員は、患者様の状態や希望条件に合う施設を電話やFAXで一件ずつ問い合わせて探すのが一般的でした。
患者様ごとに退院時期・介護度・認知症や生活保護の有無・食事や排泄などの介助状況・月額のご予算といった条件は大きく異なり、受け入れ可否の確認だけでも相談員の大きな負担となっていました。一方の介護施設側も、空室があっても病院側にタイムリーに情報を届ける手段がなく、入居者獲得の機会を逃してしまうという課題を抱えていました。
そこで、退院予定患者様の情報と受け入れ可能な介護施設をオンライン上でマッチングし、見学調整から成約までを一気通貫で進められる、医療・介護に特化したプラットフォームが求められていました。
ご提案・開発アプローチ
PHPフレームワーク「Laravel」を用いて、会員制のマッチングプラットフォームをフルスクラッチで構築しました。
本システムの登場人物は「病院の相談員」「介護施設」「運営者」の3者です。それぞれで扱う情報も業務フローも大きく異なるため、認証・画面・通知を役割ごとに完全分離した三者間プラットフォームとして設計しました。
業務の流れは、相談員が退院予定患者様の情報を登録すると、条件に合う介護施設が受け入れの「オファー」を送信し、相談員がこれを承認・却下。承認後は施設見学の日程調整やチャットでのやり取りに進み、マッチング成立時には運営者が請求管理を行う、という一連のフローをすべてシステム上で完結できるようにしています。
マッチングの基盤となる地域区分には、医療行政で用いられる圏域単位を採用し、公的なオープンデータと連携して圏域・市区町村のマスタデータを整備。患者様の情報は「疾患」「ご家族」「介助内容」「障害区分」など多数の項目に分けて細かくモデル化し、医療・介護現場の実務要件を正確に扱えるデータ設計としました。
また、個人情報を扱うサービスであることから、利用規約はバージョン管理を行い、病院用・施設用それぞれで同意履歴を記録する仕組みも組み込んでいます。
実装した主な機能
- 患者情報の登録・管理機能(退院時期・介護度・認知症/生活保護の有無・介助状況・希望予算など)
- 圏域・エリアに基づく施設マッチング機能
- 介護施設からの受け入れオファー送信機能
- オファーの承認・却下機能
- 施設見学の日程調整機能
- 相談員と施設間のチャット機能
- マッチング成立時の請求管理機能(運営者向け)
- 相談員/施設/運営者それぞれの専用マイページ・通知機能
- 利用規約のバージョン管理と同意履歴の記録(病院用・施設用で個別管理)
- 運営管理画面(会員・患者情報・オファー・マッチング・請求の一元管理)
導入による効果
これまで電話やFAXでの個別確認に依存していた退院支援の施設探しが、条件に合う施設側からオファーが届く仕組みに変わり、相談員は施設探しにかけていた時間を患者様やご家族への対応に充てられるようになりました。
介護施設側も、受け入れ可能な患者様の情報を条件ベースで確認してアプローチできるため、稼働率の向上につながる新たなチャネルとして活用できます。オファーの承認から見学調整、チャットでのやり取り、成約後の請求管理までがプラットフォーム上に集約され、運営者は全体の状況を管理画面で一元的に把握・対応できるようになりました。
今後の展望
患者様の状態や希望条件、施設ごとの受け入れ実績といったデータがプラットフォーム上に蓄積されていくため、これらを活用したマッチング精度の向上や、対応エリアの拡大にも発展させていける構成です。
退院支援という医療・介護の連携を支える社会性の高い領域で、現場の実務に寄り添ったサービスとして成長させていける土台を整えました。
まとめ
本事例は、病院の相談員・介護施設・運営者の3者をオンラインでつなぐ医療介護マッチングプラットフォームを、Laravelで新規構築したものです。
役割ごとに完全分離した設計、医療行政の圏域区分に基づくマッチング、医療・介護の実務要件を細かく反映したデータ設計により、専門性と信頼性が求められる退院支援の現場を、効率的かつ安全に支える仕組みを実現しました。