食品工場や冷凍・冷蔵倉庫、医薬品を扱う施設、飲食店のセントラルキッチンなど、温度管理が欠かせない現場は数多くあります。
その一方で、温度計を目で見て紙に記録し、Excelに手で転記する運用を続けている現場も少なくありません。
「記録はしているのに、異常に気づくのが翌朝になる」
「複数の拠点の温度データを1つにまとめるのが大変」
この記事では、温度管理の基本から、現場で起きやすい課題、温度管理システムの機能と選び方、導入の進め方までを整理します。
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現場報告・点検システム画面を触ってみる温度管理とは|なぜ記録が求められるのか
温度管理とは、商品や原材料、設備が決められた温度の範囲に保たれているかを確認し、記録することです。
「温度を保つこと」と同じくらい、「保っていたことを記録で示せること」が求められます。
| 分野 | 主な対象 | 記録が求められる背景 |
|---|---|---|
| 食品 | 食品工場・飲食店・食品倉庫の冷蔵庫、冷凍庫、加熱工程 | HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が、原則すべての食品等事業者に求められている |
| 医薬品 | 薬局・病院・医薬品倉庫の保管庫 | 医薬品の適正な流通のため、保管や輸送の温度を管理・記録する |
| 物流 | 冷凍・冷蔵倉庫、保冷車 | 荷主から温度記録の提出を求められる |
| 製造・工業 | 工場の設備、乾燥炉、恒温室、サーバー室 | 製品の品質や設備の故障防止に温度が影響する |
HACCPは、食品の製造工程で危害が起きやすいポイントを決めて、重点的に監視・記録する衛生管理の方法です。
2021年6月から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められるようになりました。
具体的な記録の方法は業種や規模で変わるため、保健所や業界団体の手引書もあわせて確認してください。
温度管理の方法は4種類
| 方法 | やり方 | 限界 |
|---|---|---|
| 目視+手書き | 決まった時刻に温度計を見て、紙の記録表に書く | 巡回の間に起きた異常に気づけない。転記と集計に手間がかかる |
| データロガー | 温度を自動で記録する機器を置き、後でデータを取り出す | 記録は自動だが、異常をその場で知らせることはできない |
| クラウド型の温度管理サービス | センサーの値をインターネットで送り、画面で確認・通知する | 画面や帳票はサービスの型の範囲。他の業務との連携は限られる |
| 温度管理システムの個別開発 | センサーと自社の業務に合わせた画面・帳票・通知を作る | 開発の費用と期間が必要 |
異常にすぐ気づきたいなら、センサーの値をインターネットで送って通知する仕組みが必要です。
データロガーは記録の手間は減らせますが、夜間や休日の故障にはその場で対応できません。
温度管理の現場で起きやすい3つの課題
1. 記録と転記に時間がかかる
決まった時刻に温度計を確認して紙に書き、あとでExcelに転記する。
この作業は1回あたりは短くても、設備の数と記録の回数だけ積み重なります。
月末の集計やHACCPの記録づくりにも手間がかかり、記入漏れや転記ミスも起きやすくなります。
2. 異常に気づくのが遅れる
巡回による確認だけでは、巡回と巡回の間に起きた異常に気づけません。
冷蔵・冷凍設備の故障や停電が夜間や休日に起きると、発見が翌朝になり、商品や薬剤の廃棄につながります。
3. 複数拠点のデータをまとめて把握できない
店舗や倉庫が複数あると、拠点ごとに記録の方法がばらばらになりがちです。
本部への報告が電話やメール頼りだと、全体の状況をすぐに把握できません。
拠点が増えるほど、この管理の手間は大きくなります。
温度管理システムの主な機能
| 機能 | できること |
|---|---|
| 自動記録・自動収集 | 温度センサーの値を決まった間隔で自動で記録する |
| 異常時の通知 | 上限・下限を外れたら、メールやLINEなどで担当者に知らせる |
| 拠点の一元管理 | 複数拠点の温度を、本部の画面でまとめて確認する |
| グラフ・帳票の出力 | 日次・月次のグラフや、監査・HACCP用の記録表を自動で作る |
| 履歴の検索・出力 | 過去のデータを期間や設備で探し、CSVでダウンロードする |
| 異常時の対応記録 | 異常が起きたときに、誰が何をしたかを記録する |
| 権限管理・スマホ対応 | 拠点や部署ごとに見られる範囲を分け、スマホからも確認する |
見落とされやすいのが「異常時の対応記録」です。
監査では、温度の記録だけでなく「異常が起きたときにどう対応したか」も確認されます。
通知を受けた後の対応まで残せる仕組みにしておくと安心です。
| 従来の運用 | システム導入後 | |
|---|---|---|
| 記録の方法 | 目視+手書き・Excel入力 | センサーによる自動記録 |
| 異常時の対応 | 巡回のときに発覚する | 異常が起きた時点で通知が届く |
| 拠点の管理 | 拠点ごとに管理し、電話で報告 | 本部の画面でまとめて確認 |
| 帳票の作成 | 手作業で集計・作成 | 自動で集計・出力 |
温度センサーを選ぶときの注意点
温度管理システムの使いやすさは、画面よりもセンサーの選び方で決まることがあります。
導入前に、次の点を確認しておきましょう。
- 通信の方法:冷凍庫の中や金属の壁に囲まれた場所では、電波が届きにくいことがある
- 電源と電池:電池式なら交換の頻度を、電源式なら停電時の動きを確認する
- 測れる温度の範囲:冷凍庫や加熱工程など、測りたい温度に対応しているか
- 設置する場所:扉の近くは開け閉めで温度が上下しやすい。庫内のどこで測るかを決める
- 校正:センサーの値が正しいかを、定期的に確かめる方法があるか
特に停電時の動きは重要で、停電そのものを知らせる仕組みがあると、復旧後の判断がしやすくなります。
クラウド型サービスと個別開発、どちらを選ぶか
| 比較の軸 | クラウド型の温度管理サービス | 個別開発 |
|---|---|---|
| 始めやすさ | センサーを置けばすぐ使える | 開発期間が必要 |
| 帳票・画面 | サービスの型の範囲 | 今の記録表や監査の書式に合わせられる |
| 他の業務との連携 | 対応している範囲のみ | 点検・在庫・出荷などの業務とつなげられる |
| センサー | サービス指定の機器 | 現場に合う機器を選べる |
| 向いているケース | 温度の記録と通知ができれば十分 | 温度以外の点検や記録と一緒に管理したい |
温度の記録と通知だけが目的なら、まずクラウド型のサービスを検討するのが近道です。
温度の記録を衛生点検や設備点検とまとめて管理したい場合は、個別開発が向いています。
個別開発の場合は、開発費とは別にセンサーの購入費と通信費がかかります。
点検とあわせて管理する方法は点検管理システムの記事で解説しています。
導入の進め方
| ステップ | やること |
|---|---|
| ① 現状の洗い出し | 測っている設備の数、記録の回数、今の記録表を集める |
| ② 基準を決める | 設備ごとの上限・下限と、異常時に誰が何をするかを決める |
| ③ 試験導入 | 1つの拠点・数台の設備でセンサーを置き、通信と通知を確かめる |
| ④ 展開 | 他の設備や拠点に広げ、紙の記録をやめる |
②で「通知を受けた人が何をするか」まで決めておくことが大切です。
通知が届いても、誰が対応するかが決まっていなければ、異常は放置されます。
よくある質問
Q. 今使っている紙の記録表の書式で出力できますか?
A. 個別開発であれば、今の記録表や監査で使う書式に合わせて出力できます。
帳票の管理については帳票管理システムの記事で解説しています。
Q. センサーを置けない設備はどうすればよいですか?
A. スマートフォンやタブレットから手で入力する形も組み合わせられます。
手入力でも、紙に書いてExcelに写す二度手間はなくなります。
Q. どんな技術で作りますか?
A. ブラウザから使えるWebシステムとして作るのが一般的です。
当社ではPHP(Laravel)とMySQLをよく使い、サーバーはクラウド上に置いて拠点や利用者が増えても対応できるようにします。
まとめ
- 温度管理は「温度を保つこと」と「保っていたことを記録で示すこと」の両方が求められる
- 管理の方法は、手書き・データロガー・クラウド型サービス・個別開発の4種類
- 異常にすぐ気づくには、センサーの値を送って通知する仕組みが必要
- センサーは通信・電源・設置場所・停電時の動きを確認して選ぶ
- 記録と通知だけならクラウド型、点検や他の業務と一緒に管理したいなら個別開発
温度管理システムは、通知を受けた後の対応まで決めておくことで、はじめて商品を守る仕組みになります。
「今の記録表のままシステム化できるか」「点検と一緒に管理したい」といったご相談も承っています。
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