「産業廃棄物 管理システム」で検索すると、製品ページと比較記事がずらりと並びます。機能一覧を見比べても、どれが自社に必須で、どれが「あれば便利」なのか、判断がつきにくいのではないでしょうか。
結論から書きます。産業廃棄物管理システムの機能一覧は、その大半が廃棄物処理法と施行規則の義務を裏返したものです。 マニフェストを5年保存する。返送が90日以内に来なければ状況を確認する。6月30日までに報告書を出す。製品ごとに呼び名は違っても、やっていることは同じです。
逆に言えば、条文を先に読めば、自社に必要な機能は逆算できます。 そして、法令が手順まで決めていない部分、つまり単価の決め方や配車のルール、請求の締め方こそが、会社ごとに違い、パッケージが合う・合わないを分けるところです。
もう1つ、この記事を書いた理由があります。2027年4月1日、処分業者が電子マニフェストで報告する項目が増えます。 環境省は2025年12月に施行通知を出しており、実測が難しい場合の計算方法まで示しています。当社が確認した比較記事2本は、いずれもこの改正に触れていませんでした。
当社は産廃専用のパッケージを販売していない、受託のシステム開発会社です。特定の製品を勧める立場にないので、この記事では製品比較をしません。代わりに、次の5点を条文と公的資料だけで整理します。
- 「産業廃棄物管理システム」は2種類ある
- 法令が決めていること=どの製品でも必要な機能
- 電子マニフェスト(JWNET)とのつなぎ方と、普及の現在地
- 2026年・2027年の改正でシステムに必要になること
- パッケージで足りる場合と、作る・つなぐ場合の判断軸
「産業廃棄物管理システム」は2種類ある
同じ名前で呼ばれていますが、使う人が違う2種類のシステムがあります。
| 排出事業者向け | 処理業者向け | |
|---|---|---|
| 使う人 | 製造業・建設業・小売業などの総務・環境担当 | 収集運搬業者・処分業者の事務・配車・経理 |
| 中心の業務 | 委託先と契約書の管理、マニフェストの交付と返送確認、排出量の集計、行政報告 | 受注、配車、計量、マニフェスト、帳簿、請求 |
| 性格 | 法令順守の管理ツール | 会社の基幹システム |
見分け方は単純です。産業廃棄物を「出す側」なら前者、「運ぶ・処分する側」なら後者です。中間処理業者は、受け入れた廃棄物を処分したあとの残さを別の業者に委託するので、両方の立場を持ちます。
規模感も押さえておきます。環境省の報道発表(2026年3月27日)によると、令和5年度の産業廃棄物の総排出量は3億6,725万トン。再生利用が2億79万トン(54.7%)、減量化が1億5,772万トン(42.9%)、最終処分が875万トン(2.4%)です。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業(26.5%)、農業・林業(22.0%)、建設業(21.8%)が上位を占めます。
処理する側は、産業廃棄物処理業の許可件数が248,458件、特別管理産業廃棄物処理業が23,843件(いずれも令和6年4月1日現在、環境省 2026年3月26日公表)。これは許可の「件数」で、1社が複数の自治体で許可を取るため、事業者の数ではありません。
法令が決めていること=どの製品でも必要な機能
ここからが本題です。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」)と、同施行規則(以下「規則」)の条文を、システムの機能に対応させていきます。
マニフェストの交付と保存
出発点は法第12条の3第1項です。
その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物…の運搬又は処分を他人に委託する場合…には、…当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に…産業廃棄物管理票…を交付しなければならない。
この「産業廃棄物管理票」がマニフェストです。交付した側も、受け取った側も、保存期間は5年です。
| 誰が | 何を | 期間 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 排出事業者 | 交付した管理票の写し | 交付した日から5年 | 法第12条の3第2項、規則第8条の21の2 |
| 排出事業者 | 送付を受けた管理票の写し | 送付を受けた日から5年 | 法第12条の3第6項、規則第8条の26 |
| 運搬受託者 | 管理票・写し | 送付した日(写しは送付を受けた日)から5年 | 法第12条の3第9項、規則第8条の30 |
| 処分受託者 | 管理票 | 送付した日から5年 | 法第12条の3第10項、規則第8条の30の2 |
| 排出事業者 | 委託契約書と添付書面 | 契約の終了の日から5年 | 施行令第6条の2第5号、規則第8条の4の3 |
注意したいのは起算日です。特に委託契約書は、作った日ではなく契約が終わった日から5年です。「直近5年に作った書類を残す」では足りません。書類ごとの起算日から5年分を、検索できる形で持つ。これがどの製品にも共通する最初の要件です。
返送期限の管理|10日・90日・180日
マニフェストは交付して終わりではありません。運搬や処分が終わると、写しが排出事業者に戻ってきます。その期限が規則で決まっています。
| 場面 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 運搬受託者が写しを送付 | 運搬を終了した日から10日 | 規則第8条の23 |
| 処分受託者が写しを送付 | 処分を終了した日から10日 | 規則第8条の25 |
| 排出事業者が写しを受け取るまで(運搬・処分の終了) | 交付の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日) | 規則第8条の28第1号 |
| 同(中間処理を経由する場合の、最終処分の終了) | 交付の日から180日 | 規則第8条の28第2号 |
中間処理を挟まず、直接最終処分を委託した場合の確認期限は、180日ではなく90日(特別管理産業廃棄物は60日)です。
期限までに写しが届かなかった場合、排出事業者は放置できません。法第12条の3第8項は、「速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、…適切な措置を講じなければならない」と定めています。さらに規則第8条の29は、期間が経過した日から30日以内に、報告書(様式第4号)を都道府県知事へ提出することも求めています。
製品の機能一覧にある「未返送アラート」「期限管理」は、これらの条文への対応です。追うべき期限は、返送の期限と、その後の30日の2段階あります。紙のマニフェストを月に数百枚交付している会社で、90日と180日を目視で追うのは現実的ではありません。排出事業者向けのシステムを入れる一番の理由はここにあります。
年次報告|毎年6月30日
紙のマニフェストを交付した排出事業者には、年1回の報告義務があります(法第12条の3第7項)。規則第8条の27はこう定めています。
…産業廃棄物を排出する事業場…ごとに、毎年六月三十日までに、その年の三月三十一日以前の一年間において交付した管理票の交付等の状況に関し、様式第三号により作成し、当該事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
ポイントは「事業場ごと」です。事業場が10あれば、報告書も原則10通になります。「交付等状況報告書の自動作成」という機能は、この集計を指しています。
委託先の許可期限
排出事業者が処理を委託できるのは、原則として、その廃棄物の種類と処理が許可の範囲に入っている業者です(法第12条第5項ほか。許可を要しない者など、環境省令で定める例外もあります)。その許可には期限があります。
- 新規の許可、通常の更新:5年
- 優良基準に適合すると認められた更新:7年
収集運搬業(施行令第6条の9)、処分業(同第6条の11)、特別管理産業廃棄物の収集運搬業(同第6条の13)・処分業(同第6条の14)のいずれも同じ年数です。「許可証の期限切れアラート」は、委託先が多い排出事業者ほど効きます。なお、更新を申請中の許可は、期限を過ぎても処分が出るまで効力が続きます(法第14条第3項ほか)。期限の日付だけで「失効」と判定しない作りが必要です。
守らなかった場合
法第12条の6は、管理票や電子マニフェストに関する義務を守っていない事業者等に対して、都道府県知事が勧告でき、従わなければその旨を公表でき、公表後も正当な理由なく措置をとらなければ命令できると定めています。
罰則は法第27条の2です。管理票を交付しない、記載すべき事項を書かない、虚偽を書く、写しを送付しない、管理票を回付しない、保存しない、電子マニフェストに虚偽の登録をする、運搬や処分の終了を報告しない・虚偽の報告をする、命令に違反する、など。これらは「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」の対象です。
排出事業者にとって、産廃の管理は「効率化できたら嬉しい業務」ではなく、「漏れると罰則がある業務」です。システムに求めるものも、速さより漏れの検知になります。
電子マニフェスト(JWNET)とどうつなぐか
紙との違いは「3日」と「報告不要」
マニフェストは、紙の代わりに電子で運用できます。情報処理センター(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)が運営する JWNET に登録する方式です。排出事業者だけでなく、委託先の収集運搬業者・処分業者もJWNETに接続していることが前提になります(法第12条の5)。
電子の場合、登録や報告の期限は紙より短くなります。
| 場面 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 排出事業者の登録 | 引渡し後3日(休日等を除く) | 規則第8条の31の6 |
| 運搬・処分の終了報告 | 終了した日から3日(休日等を除く) | 規則第8条の34 |
| 中間処理業者が、委託先での最終処分の終了を受けて行う報告 | 3日(休日等を除く) | 規則第8条の34の3 |
「休日等」は、土曜日、日曜日、祝日、1月2日・3日、12月29日〜31日です。
その代わり、2つの負担がなくなります。1つは保存で、登録・報告された情報は情報処理センターが5年間保存します(規則第8条の35)。もう1つは年次報告です。法第12条の5第9項により、電子マニフェスト分は情報処理センターが都道府県知事に報告するため、排出事業者が6月30日の報告書にまとめる対象は、紙で交付した分だけになります。
返送確認の考え方は紙と同じです。登録の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、中間処理を経由する場合の最終処分は180日以内に報告がなければ、情報処理センターから排出事業者に通知が届き(法第12条の5第10項、規則第8条の37)、排出事業者は状況を把握して適切な措置を講じ、期間が経過した日から30日以内に都道府県知事へ報告書を提出します(同第11項、規則第8条の38)。
使用が義務なのは誰か
「電子マニフェストは義務化された」と書かれることがありますが、対象は限定されています。規則第8条の31の3の原文です。
…当該年度の前々年度において産業廃棄物(前条に規定するものに限る。…)の発生量が五十トン以上である事業場を設置している事業者(当該事業場から生ずる産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合に限る。)とする。
「前条に規定するもの」とは、PCB廃棄物を除く特別管理産業廃棄物です(規則第8条の31の2)。2020年4月1日に施行されました。整理すると次のとおりです。
- 判定は会社単位ではなく事業場単位
- 前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上
- 義務がかかるのは、その事業場から特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合
すべての事業者に一律で義務がかかっているわけではありません。また、回線の故障や天災、電子マニフェストに対応した業者への委託が困難な場合などは、例外として紙が認められています(規則第8条の31の4)。
普及の現在地|2つの数字は別の指標
JWNETの公式ページには、普及状況を示す数字が2つ載っています。
| 指標 | 値 | 測り方 |
|---|---|---|
| 捕捉率 | 2025年度 約66.5% | 重量ベース。分母は160,000千トン(環境省が算出した2021年度の産業廃棄物委託処理量159,727千トンに基づく固定値) |
| 電子化率(参考値) | 2025年度 67.9% | 件数ベース。「年間総マニフェスト数を7,000万として」算出 |
値が近いので混同されがちですが、重さで測ったものと枚数で測ったもので、分母の置き方も違います。 国の目標になっているのは捕捉率のほうで、第五次循環型社会形成推進基本計画(2024年8月閣議決定)は、2030年度に75%とする目標を掲げています。
年間の登録件数は、2016年度の23,748千件から2025年度の47,513千件へ、10年度でほぼ2倍になりました。一方で、件数ベースの参考値を素直に読めば、マニフェストのおよそ3枚に1枚はまだ紙です。取引先に紙の会社が残る限り、紙と電子の両方を扱える管理が当面は必要になります。
自社システムとつなぐ経路|EDI方式
JWNETの使い方は、ブラウザで1件ずつ入力するWeb方式だけではありません。EDI方式は、自社のシステムと情報処理センターのサーバの間で、マニフェスト情報をデータでやり取りする方式です。
JWNETの案内によれば、方法は2つあります。
- 「EDI方式接続仕様書」に基づいて、自社専用のEDIシステムを構築する
- ASP事業者が提供するサービスを利用する
仕様書はJWNETのサイトで公開されており、構築する場合は仕様書と「EDIシステム運用規程」、関係法令への適合が求められます。Web方式との併用もできます。
JWNETはASP事業者のサポート窓口リストを公開しており、ASP事業者のサービスを通じてJWNETにつながる製品もあります。製品を選ぶときは、実際の接続方式を確認してください。自社の基幹システムから直接つなぐ場合は1になり、接続仕様の改訂に自社で追随する責任が生じます。次に説明する2027年の改正でも、接続仕様書は2025年5月のVer.2.00ですでに改訂されています。
2026年・2027年の改正でシステムに必要になること
根拠は、令和7年4月22日に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(令和7年環境省令第15号)と、環境省の施行通知(環循規発第2512221号、令和7年12月22日)です。
2027年4月1日:処分業者の報告事項が5つ増える
電子マニフェストで最終処分に係る報告を行うとき、処分受託者が報告する事項が追加されます(規則第8条の34の3の2)。通知の原文です。
…その受託した産業廃棄物について最終処分が終了するまでのすべての処分について、各処分ごとに、「処分を行った者の氏名又は名称及び許可番号」、「処分を行った事業場の名称及び所在地」、「処分方法」、「処分方法ごとの処分量…」及び「処分後の産業廃棄物又は再生された物の種類及び数量…」…を報告することとする。
趣旨は、排出事業者が「自分の出した廃棄物が、最終的にどこで、どう処分・再生されたか」を各段階ごとに把握できるようにすることです。追加された情報は、情報処理センターから排出事業者への通知にも含まれます(規則第8条の34の4)。
システムの観点で重要なのは、通知が示している3つの留意事項です。
① 二次委託先の分も報告対象
処分受託者が他人に委託した中間処理産業廃棄物…の処理についても報告の対象となること。また、その一部に…産業廃棄物管理票…が使用されている場合であっても報告の対象となること。
中間処理後の残さを別の処分業者に出している場合、その先の処分情報も取り込む必要があります。途中が紙のマニフェストでも対象です。
② 実測できなければ「比率」で算出してよい
実測することが望ましいが、実測が困難である場合は、…処分方法ごとの処分量の比率(以下「処分方法比率」という。)をあらかじめ求めておき、…受入重量(以下「基準重量」という。)と処分方法比率を乗じることにより算出された処分量とすること。
処分後の数量についても同じ考え方で、過去の帳簿や売上記録から「中間処理後廃棄物比率」や「再資源化率」をあらかじめ求め、基準重量に掛けて算出できるとされています。複数のマニフェストをまとめて処分する場合は、マニフェストごとに按分します。
システムの言葉に直すと、比率で算出する処分業者や、複数のマニフェストをまとめて処分する処分業者には、①事業場・廃棄物の種類ごとの比率マスタ ②マニフェスト単位の按分計算が要ります。通知が求めているわけではありませんが、③比率の根拠になった期間とデータの記録も持っておくと、算出方法を説明できます。すべて実測でき、マニフェスト単位で処分している会社には、①と②は要りません。
③ この報告に罰則の適用はない
最終処分に係る情報の報告については法第27条の2第10号の規定による罰則の適用がないこと。
過度に心配する必要はありません。対象は処分受託者で、排出事業者や収集運搬業者の入力が増えるわけでもありません。JWNETによれば、追加項目は2027年3月末までは任意項目として扱われます。
処分業者が今やっておくことは2つです。パッケージを使っているなら、対応時期と、比率マスタを自社で設定できるかをベンダーに確認する。自社システムやEDIで直接つないでいるなら、改訂済みの接続仕様(2025年5月のVer.2.00)に自社システムが対応しているかを確認し、2027年4月までの改修を計画に入れる。
2026年1月1日:委託契約書に化学物質の情報(対象は限定的)
同じ省令で、委託契約書に含めるべき事項も追加されました(規則第8条の4の2)。すでに施行されています。
対象は、化管法(PRTR法)の第一種指定化学物質等取扱事業者である排出事業者です。排出量・移動量を把握すべき第一種指定化学物質が、廃棄物の重量の1%以上(特定第一種指定化学物質は0.1%以上)含まれ、または付着している場合に、その名称と量または割合を委託契約書に記載します。
通知は、実測を必須とせず、文献値や含有率からの算出・推定でよいこと、「〇%〜〇%」のように幅を持たせてよいことを示しています。施行時点で締結済みの契約は、更新までは従前の扱いです。
該当する排出事業者は、契約書の管理項目に化学物質の欄を足し、更新時に記載漏れがないかを確認できるようにしておく必要があります。該当しない会社には、直接の影響がない改正です。
処理業者の基幹業務|法令が細かく決めていない部分
ここまでは「どの会社でも同じ」部分でした。処理業者のシステムには、もう1層あります。
帳簿は法令で決まっている
産業廃棄物収集運搬業者・処分業者には、帳簿を備える義務があります(法第14条第17項)。規則第10条の8が、産業廃棄物の種類ごとに書く事項を定めています。
| 区分 | 主な記載事項 |
|---|---|
| 収集又は運搬 | 年月日/管理票ごとの交付者名・交付年月日・交付番号/受入先ごとの受入量/運搬方法及び運搬先ごとの運搬量/積替え保管場所ごとの搬出量 |
| 処分 | 受入れ又は処分年月日/管理票ごとの交付者名・交付年月日・交付番号/受入先ごとの受入量/処分方法ごとの処分量/持出先ごとの持出量 |
| 運搬・処分の委託 | 委託年月日/受託者名・住所・許可番号/管理票の交付年月日・交付番号/委託量 ほか |
記載の期限も決まっています。受け取った管理票の交付者名・交付年月日・交付番号は、交付または回付された日から10日以内。委託するときに自社が交付した管理票の交付年月日・交付番号などは、引渡しまで。それ以外の事項は、前月分を毎月末までに記載します(同条第2項)。帳簿は1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間、事業場ごとに保存します(同条第3項が準用する規則第2条の5第3項)。
お気づきかもしれませんが、帳簿の「処分方法ごとの処分量」は、2027年4月に電子マニフェストの報告事項に加わるものと同じ軸です。帳簿を処分方法別にきちんとデータで持っている処分業者は、改正への対応がそれだけ楽になります。
会社ごとに違うのは、その前後
処理業者の日々の業務は、おおよそ次の流れです。
受注 → 配車 → 回収・計量 → マニフェスト → 帳簿 → 請求
このうち、法令が記録項目や期限まで具体的に決めているのは、マニフェストと帳簿の部分です。その前後にも処理基準や委託契約のルールはありますが、業務の手順は会社ごとに違います。
- 単価:重量単価、容積単価、コンテナ1台あたりの定額、月極。顧客ごと・品目ごとの例外
- 配車:定期回収とスポットの混在、車種と積載、コンテナの設置・引き上げ・交換
- 計量:トラックスケールの機器連携、風袋の扱い、混載時の按分
- 請求:締め日、収集運搬費と処分費の分け方、有価物の買い取りとの相殺
パッケージが合わないと感じるのは、たいていこの部分です。法令対応の機能が足りないのではなく、自社の単価体系や配車のやり方が、パッケージの前提に収まらないのです。
パッケージで足りる場合、作る・つなぐ場合
開発会社の立場から、率直に書きます。
法令で決まっている部分は、パッケージに任せるのが合理的です。 マニフェストの様式、期限、JWNETとの接続、行政報告の様式は、どの会社でも同じで、改正のたびに追随が必要です。2027年の項目追加のような変更を、自社開発のシステムで毎回追いかけるのは割に合いません。
一から作ることを考えてよいのは、法令が細かく決めていない業務がパッケージに収まらないときです。 その場合も、全部を作り直す必要はありません。選択肢は3つあります。
| 進め方 | 向いている会社 |
|---|---|
| パッケージをそのまま使う | 単価・配車・請求のやり方が標準的。排出事業者の多く |
| パッケージ+周辺だけ作る | マニフェストと帳簿はパッケージ、受注・配車・請求は自社のやり方に合わせて作り、データでつなぐ |
| 基幹を作り、JWNETとはEDIでつなぐ | 既存の基幹システムが業務の中心にあり、産廃はその一部。仕様改訂に追随する体制がある |
発注や製品選定の前に、次の項目を決めておくと話が早く進みます。
- □ 自社は排出事業者か、処理業者か、両方か
- □ マニフェストの年間交付(受領)枚数と、紙・電子の割合
- □ 事業場(報告書の単位)はいくつあるか
- □ 取引先のうち、JWNETに加入していない会社はどれくらいあるか
- □ 電子マニフェストの使用義務がある事業場はあるか(特別管理産業廃棄物50トン以上)
- □ 処分業者の場合:処分方法別の処分量を、今どの粒度で記録しているか
- □ 単価・配車・計量・請求のうち、パッケージの標準に合わせられない業務はどれか
- □ 既存の販売管理・会計・配車システムと、どのデータをつなぐ必要があるか
最後の2つに具体的に答えられれば、「パッケージで足りるか」の答えはほぼ出ます。
まとめ
産業廃棄物管理システムは2種類ある
- 排出事業者向け:契約書・許可期限・マニフェストの返送確認・行政報告
- 処理業者向け:受注から請求までの基幹業務
機能の大半は法令の裏返し
- 保存は5年(管理票、委託契約書、帳簿)
- 返送確認は交付の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)、中間処理を経由する場合の最終処分は180日
- 紙で交付した分は、事業場ごとに毎年6月30日までに報告
- 違反には勧告・公表・命令、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金
電子マニフェスト
- 登録・報告は3日以内(休日等を除く)。保存と年次報告は情報処理センターが担う
- 使用義務は、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)が前々年度50トン以上の事業場に限られる
- 捕捉率66.5%(重量)と電子化率67.9%(件数・参考値)は別の指標。紙はまだ残っている
2027年4月1日の改正
- 処分業者の報告事項が5つ増える。二次委託先の分も対象
- 実測できなければ比率で算出してよい。その場合は比率マスタと按分計算が要る
- 罰則の適用はなく、2027年3月末までは任意項目
判断軸
- 法令で決まる部分はパッケージに任せる
- 合わないのは単価・配車・計量・請求。そこだけ作ってつなぐ選択肢がある
機能一覧を横に並べて比べる前に、条文から「自社に必須の機能」を先に確定させ、残った「自社だけの業務」をどう扱うかを考える。この順番のほうが、選定も発注も迷いません。
出典
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第12条、第12条の3、第12条の5、第12条の6、第14条、第27条の2(e-Gov 法令検索、2026年9月18日確認)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第6条の2、第6条の9、第6条の11、第6条の13、第6条の14(同)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)第2条の5、第8条の4の3、第8条の21の2〜第8条の37、第10条の8(同)
- 環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制担当参事官「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」環循規発第2512221号(令和7年12月22日)
- 環境省「Q&A 電子マニフェスト使用の一部義務化等について」
- 環境省 報道発表「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)について」(2026年3月27日)
- 環境省 報道発表「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和5年度実績等)について」(2026年3月26日)
- 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)「捕捉率・登録件数」「電子マニフェストの項目追加」「EDI方式のご案内」「EDIシステムを構築する」「EDI方式接続仕様書 変更履歴」(2026年9月18日確認)
- 環境省「第五次循環型社会形成推進基本計画」(2024年8月閣議決定)
産廃の業務のうち、どこをパッケージに任せ、どこを自社のやり方に合わせて作るか。線引きの段階からご相談いただければ、既存システムとのつなぎ方も含めてお手伝いします。お問い合わせフォームからご連絡ください。