はじめに
株式会社みんなシステムズ営業の松永です。
システム開発を依頼しようと考えている企業の方々に、よく「ウォーターフォール開発で進めましょう」と提案されることがあります。しかし、この従来型の開発方式には大きな限界があることが、近年広く認識されています。
本記事では、ウォーターフォール開発の実態と、なぜ現代のビジネスには適さないケースが多いのかを、わかりやすく解説していきます。
目次
ウォーターフォール開発とは
ウォーターフォール開発とは、滝が上から下に流れるように、システム開発を以下の段階に分けて、順番に進めていく方式です:
- 要件定義(何を作るかを決める)
- 設計(どのように作るかを決める)
- プログラミング(実際に作る)
- テスト(動作確認をする)
- 運用(実際に使う)
限定的なメリット
1. 計画が立てやすい
- 各工程の期間と費用を事前に見積もりやすい
- プロジェクトの進捗が把握しやすい
2. 責任範囲が明確
- 各工程の担当者と役割が明確
- 契約書や見積書が作りやすい
3. 大規模なプロジェクトでも管理しやすい
- 作業の順序が明確
- 多人数での分担がしやすい
重大なデメリット
1. 変更への対応が困難
- 開発の途中で仕様を変更するのが難しい
- 変更すると多大なコストと時間がかかる
- ビジネス環境の変化に対応できない
具体例:
ECサイトの開発で、競合他社が新しい機能をリリースした場合、ウォーターフォール開発では迅速な対応が困難です。
2. 後戻りのコストが膨大
- 前の工程に戻るとやり直しが多い
- 問題が後工程で見つかると修正コストが大きい
- スケジュールが大幅に遅延するリスクが高い
具体例:
テスト段階で重大な使いづらさが見つかった場合、設計からやり直しになることも。
3. 使ってみるまでわからない
- 完成するまで実際の使用感がわからない
- 利用者の意見を反映する機会が少ない
- 使いづらいシステムになるリスクが高い
4. 現代のビジネス環境に合わない
- ビジネスの変化が速い現代には不向き
- 競合との差別化が難しい
- 市場の要求に追いつけない
なぜまだ使われているのか?
契約のしやすさ
- 従来の契約形態に合わせやすい
- 予算が立てやすい
- 責任範囲が明確
管理のしやすさ
- 従来の管理手法が適用できる
- 進捗報告が簡単
- 大規模組織での調整がしやすい
ウォーターフォールが適している稀なケース
要件が明確で変更の可能性が極めて低い場合
- 法令対応システム
- 既存システムの完全な置き換え
- 明確な規格に基づくシステム
失敗が許されない特殊なシステム
- 医療機器の制御システム
- 金融機関の基幹システム
- 航空管制システム
現代的な代替アプローチ
1. アジャイル開発
- 小さな単位で開発と改善を繰り返す
- 変更に柔軟に対応できる
- 早い段階から実際に使える
2. プロトタイプ方式
- 試作品を早めに作って確認する
- 使用感を早期に把握できる
- 大きな手戻りを防げる
3. ハイブリッド方式
- ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせる
- 各手法の良い部分を活かせる
- 段階的に移行しやすい
開発方式を選ぶ際のチェックポイント
ビジネスの性質
- 変更の頻度は高いか
- 競合との差別化が必要か
- 市場の変化は速いか
プロジェクトの特徴
- 要件は明確か
- 開発期間はどのくらいか
- 予算の柔軟性はあるか
組織の状況
- 意思決定は迅速にできるか
- 柔軟な契約形態は可能か
- チームの経験レベルは十分か
成功のための提案
1. 小規模から始める
- 全体を一度に開発しない
- 重要な機能から着手
- 段階的にリリース
2. 利用者の声を重視
- 早めにフィードバックを得る
- 実際の使用場面を想定
- 現場の意見を取り入れる
3. 柔軟な契約形態の検討
- 段階的な契約
- 変更を前提とした予算配分
- リスクの共有
まとめ
ウォーターフォール開発は、以下の理由から現代のビジネスには適さないケースが多くなっています:
- 変更への対応が困難
- 後戻りのコストが高い
- 実際の使用感が後半まで不明
- ビジネスの変化に追いつけない
特に初めてシステム開発を行う企業の場合、要件が明確でないことが多く、途中での変更も想定されます。
そのため、より柔軟な開発アプローチを検討することをお勧めします。
最後に一言:開発手法は手段であって目的ではありません。
自社の事業、業務に本当に合った方法を選ぶことが重要です。
(参考になったらSNSで拡散していただけると次回の記事作成のモチベーションになります!)