はじめに:システム開発の見積もりが難しい理由
「システム開発の見積もりって、どうしてこんなに幅があるの?」
「同じような機能なのに、会社によって価格がまったく違う…」
「この見積もりは妥当なのか、それとも高すぎるのか判断できない」
こういった悩みを抱えている企業担当者の方は少なくありません。
初めまして。株式会社みんなシステムズ営業の松永です。
システム開発の発注において、最も頭を悩ませるのが「適正な価格」の判断です。
見積もりの妥当性を判断するためには、開発費用の構造や相場観を理解することが不可欠です。
本記事では、システム開発の見積もり相場を徹底解説するとともに、発注側として知っておくべき価格の判断基準や失敗しないための具体的なポイントをご紹介します。
システム開発の費用構造を理解する
システム開発の費用は、大きく分けて以下の要素で構成されています。
- 人件費:開発に関わるエンジニアの人件費
- 環境構築費:開発・テスト環境の構築費用
- ライセンス費:必要なソフトウェアライセンスの費用
- 運用・保守費:システム稼働後の運用・保守にかかる費用
- マージン:開発会社の利益
これらの費用構成比率は開発案件によって異なりますが、一般的には人件費が全体の60~70%を占めることが多いです。
人件費の計算方法
人件費は主に「工数(人月)× 単価」で計算されます。
総人件費 = 工数(人月)× エンジニア単価(円/月)
例えば、3人のエンジニアが4ヶ月間開発に従事し、エンジニア1人あたりの単価が100万円/月の場合は、
総人件費 = 3人 × 4ヶ月 × 100万円/月 = 1,200万円
となります。
規模別のシステム開発相場
システム開発の見積もり相場は、開発規模によって大きく異なります。
以下に、一般的な規模別の相場感をご紹介します。
小規模システム(50~300万円)
- 開発期間:1~2ヶ月
- 想定工数:1~3人月
- 主な内容:
- 単機能のWebシステム
- 既存システムの小規模改修
- 簡易的な社内業務ツール
中規模システム(300~1,000万円)
- 開発期間:2~6ヶ月
- 想定工数:4~10人月
- 主な内容:
- 複数機能を持つWebシステム
- 基幹業務の一部を担うシステム
- 中規模ECサイト
大規模システム(1,000~5,000万円)
- 開発期間:6ヶ月~1年
- 想定工数:10~50人月
- 主な内容:
- 企業の基幹業務システム
- 複数システム間の連携
- 大規模ECサイトやポータルサイト
超大規模システム(5,000万円以上)
- 開発期間:1年以上
- 想定工数:50人月以上
- 主な内容:
- 全社的な基幹システム
- 複雑な業務フローを扱うシステム
- 大量データ処理を伴うシステム
なお、上記はあくまで目安であり、機能要件や非機能要件(セキュリティ、パフォーマンス、可用性など)によって費用は大きく変動します。
エンジニア単価の相場
システム開発における重要な費用要素である「エンジニア単価」の相場感についても押さえておきましょう。役割や経験によって単価は大きく異なります。
役割 | 経験・スキル | 単価相場(月額) |
---|---|---|
プロジェクトマネージャー | 5年以上のPM経験 | 100~150万円 |
システムアーキテクト | 設計・開発経験10年以上 | 100~140万円 |
シニアエンジニア | 開発経験5年以上 | 80~120万円 |
ミドルエンジニア | 開発経験3~5年 | 60~90万円 |
ジュニアエンジニア | 開発経験3年未満 | 40~70万円 |
※これらの単価相場は、フルタイムで1ヶ月稼働した場合の目安です。
開発言語・フレームワークによる相場の違い
使用する開発言語やフレームワークによっても見積もり金額は変わってきます。
特に人気のある言語・フレームワークや最新技術を採用する場合は、エンジニアの希少性から単価が高くなる傾向があります。
Laravel(PHP)を用いた開発の相場
当社が得意とするLaravelを用いた開発の相場感は以下の通りです。
- 小規模システム:80~300万円
- ログイン機能、簡易的なCRUD操作を持つWebアプリケーション
- 開発期間:1~2ヶ月
- 中規模システム:300~800万円
- 複数のユーザー権限、複雑なビジネスロジック
- API連携、レポート機能など
- 開発期間:3~5ヶ月
- 大規模システム:800~3,000万円
- 多機能な管理画面、複雑なワークフロー
- 外部システム連携、高度な検索機能
- 開発期間:6ヶ月~1年
弊社の開発実績はこちら→https://drive.google.com/file/d/1iibx_bsvl6gFp330qu_OgOKx9a2CwT6M/view?usp=sharing
見積もりの種類と特徴
システム開発の見積もりには、大きく分けて以下の3種類があります。
1. 一括見積もり(固定費用)
開発範囲と費用を事前に固定する方式です。
- メリット:予算が明確になる、超過リスクが開発会社側にある
- デメリット:仕様変更に弱い、見積もり金額が高めになりがち
- 向いている案件:要件が明確に定義できる案件、小~中規模案件
2. 準委任契約(工数ベース)
エンジニアの稼働時間に応じて費用を算出する方式です。
- メリット:柔軟な仕様変更に対応可能、実績に応じた費用
- デメリット:最終的な費用が不明確、管理工数が必要
- 向いている案件:要件が流動的な案件、アジャイル開発向き
3. ハイブリッド型
基本機能は固定費用、追加機能は工数ベースなど、複合的な契約形態です。
- メリット:コアとなる機能の費用は確定、柔軟性も確保
- デメリット:契約がやや複雑になる
- 向いている案件:段階的に開発を進める案件、中~大規模案件
見積もり金額の妥当性を判断するポイント
見積書を受け取った際に、その金額が妥当かどうかを判断するポイントをご紹介します。
1. 見積もり内訳の透明性
- 人件費、環境構築費、ライセンス費などの内訳が明確か
- 工数の根拠が明示されているか
- 各機能ごとの費用が細分化されているか
2. 要件定義の深さ
- 要件のヒアリングは十分に行われたか
- 仕様変更時の対応方針が明確か
- 非機能要件(セキュリティ、パフォーマンスなど)も考慮されているか
3. 実績と専門性
- 類似案件の開発実績があるか
- 使用技術・フレームワークの専門性があるか
- 過去の開発事例やポートフォリオが確認できるか
4. 保守・運用の考慮
- 保守・運用費用も含まれているか
- 障害対応やサポート体制は整っているか
- システム拡張性への配慮はあるか
5. 複数社からの見積もり取得
できれば3社以上から見積もりを取得し、以下の観点で比較することをおすすめします。
- 総額の違いだけでなく、費用構成の違いを比較
- 同一条件での見積もりになっているか確認
- 安すぎる見積もりにも注意(品質低下や追加費用リスク)
発注前に確認すべきドキュメント
適切な見積もりを取得するためには、発注側でも準備すべきドキュメントがあります。
以下のドキュメントを整備することで、より精度の高い見積もりを得ることができます。
要件定義書
- システムの目的・概要
- 主要機能の詳細
- 画面遷移図・画面レイアウト
業務フロー図
- 現状の業務フロー
- システム導入後の業務フロー
システム構成図
- ハードウェア構成
- ソフトウェア構成
- ネットワーク構成
データ設計書
- エンティティ関連図
- データ項目定義
- データ量の見積もり
これらのドキュメントが不十分な場合は、開発会社と協力して作成することも検討しましょう。
その場合は、要件定義フェーズとして別途費用が発生することがあります。
失敗しないための見積もり取得プロセス
最後に、適切な見積もりを取得するためのプロセスをご紹介します。
Step 1: 自社の要件を整理する
- 解決したい課題を明確にする
- 必須機能と優先度を決める
- 予算感と期間の制約を確認する
Step 2: RFP(提案依頼書)を作成する
- プロジェクトの背景・目的
- 要件の概要
- 予算・期間の制約
- 選定基準
Step 3: 複数社に見積もり依頼
- 同じRFPを複数社に提示
- 技術的な専門性や実績も考慮
- 質問対応や追加情報の提供
Step 4: 比較・検討
- 単純な価格比較だけでなく、提案内容の質も評価
- 疑問点は質問して解消
- 必要に応じて再見積もりを依頼
Step 5: 契約前の最終確認
- 契約形態の確認(一括見積もり or 準委任契約)
- 支払い条件の確認
- 保証・サポート内容の確認
- 著作権の帰属
まとめ:適正な見積もりで成功するシステム開発
システム開発の見積もり相場は、開発規模や使用技術、契約形態によって大きく異なります。
見積もりの妥当性を判断するためには、費用構造や相場感を理解し、複数の観点から検討することが重要です。
当社では、Webシステム開発においてさまざまな業界の支援実績があります。
見積もりの段階から丁寧なヒアリングを行い、透明性の高い見積書をご提示することで、お客様に安心してご発注いただける環境を整えています。
システム開発の見積もりについてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。
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